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オープンチャット教員養成私塾 vol.48 「個別最適な学び」と「協働的な学び」

木の板の上に置かれたマーガレットの花束と「オープンチャット教員養成私塾」を説明した黒文字 一般ブログ教材
オープンチャット教員養成私塾
この記事は約8分で読めます。
塾長の述懐

今こそ,止揚の時。

野に咲く一輪の花が通り過ぎるそよ風に我が身を任せてそよそよと揺蕩う。

世の教職員にあって,こうした態様が無為の裡にかなうようになれば,高次化した〈新たな教育〉が創造されるのだと思います。

それは一元化した世界です。

現に,我々はそこに向かっているし,また,向かわなければならない,しかも,そのことに気付かなければならないのです。

気付いて初めて,それを教職員の資質・能力と呼ぶのです。そのためには,教職員自らが〈考える力[1]〈相対化能力〉,メタ認知能力,抽象化能力など〉を持たなければなりません。

懸命に「(自己内)他者」との〈対話〉に明け暮れ,自己の〈相対化〉を図る必要があります。

だからこそ,学び続ける必要があると言うのです。

仲間より早く花開いた1輪のコスモス
野に咲く一輪のコスモス

「「できる/できない」=「できる/できない」」の二元論的な図式で,教育を考えることは,もういい加減止めるべきです。そこには児童生徒の姿が〈皆無〉です。「児童生徒のことを考えているからこそ「できる/できない」のだ。」といったエゴイスティックな屁理屈は,もううんざりです。自分だけが可愛いのです。

二元論でしかものを考えることができない教職員には〈ホントウの児童生徒の姿〉は見えません。

「児童生徒の〈存在〉そのものに自らの人生を賭する」――これを「自己犠牲」と捉え蔑むならば,それは二元論の落とし子の考えること。〈教育道〉に悖る思考性です。

エメラルドの湖とその手前に見える山中の小道
エメラルドの湖

高次化した〈新たな教育〉の時代を迎えるには,まずはAIとの共存・〈共創造(co-creation)〉が必要です。それまで,そしてそれから,止むを得ません,人為的に二元論を超越する営為を続けていきましょう。「テーゼ/アンチテーゼ」の「矛盾」を〈矛盾〉として内包しながら,ジンテーゼを目指してアウフヘーベンの道を辿りましょう。教育が通る道はそこにしかありません。エゴイズムから我が身を解放し,〈宇宙の意思〉を感じ取りながら。

「鍛地頭-tanjito-」の〈学び〉について(リフレクション)

前回に引き続き,「「鍛地頭-tanjito-」の〈学び〉について」の第二弾です。
今回は(前回とは異なる)S先生にリフレクションしていただきました。

当私塾の〈学び〉の特徴についてご説明ください。

特徴をひと言で伝えるとしたら「急がば回れ」であると思います。1問1答するにもかっこを埋めるだけでは終わりではありません。「根拠は?」「この語句の意味は?」「背景は?」と怒涛の質問攻めがあります。「必死で調べ,まとめ、回答する」を繰り返すうちに知らず知らずのうちに理解し,知識が定着していたということが多くありました。

当私塾で何を学びましたか?

対話的で深い学びとはどんなものなのか,体験を通して学ぶことができました。他者(塾長や塾生)との対話や自己との対話を通して,答えを模索したり新たな問いが見つかったりしました。塾長がいいタイミングで資料の提示や助言をしてくださり,学習が止まることなくスムーズに進みました。

当私塾で学んだことを,今後,どのように生かしますか?

児童生徒の対話的で深い学びに欠かせない,教師のファシリテーターとしての役割を塾長から学びました。今後,私もそのような役割を果たせるよう,塾長から学び続けながら児童生徒の指導をしていきたいと考えています。

当私塾で学んだ後,教員採用候補者選考を受験して抱かれたご感想等についてお答えください。

教員採用試験はゴールではなくスタートに過ぎないということを理解しました。現場では,いろんな判断を求められることが多々あります。その際に,「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」「法的根拠は?」という判断基準が明確になったのは,鍛地頭での学びのおかげです。

今後,当私塾に求めるものは何ですか?

これまで通り,厳しく温かくご指導お願い致します。

S先生は研究者肌であり,それでいて実践家の先生です。S先生が当私塾の門を叩かれた当初,先生がつくられるOneNoteを拝見して,仰天したことを覚えています。自ら問いを立てられ,多種の先行文献に当たり,それらがOneNoteに精緻に整理され,自らの思考が紙面いっぱいに書き尽くしてあるのです。OneNoteの紙面を辿れば,先生の思考の筋道が誰にでもわかるほどです。しかも,児童の指導に熱心で,先生とのある対話の中で,当方が「物凄い実践ですね!」と感嘆した折,先生は余りお喜びではなかったことを記憶しています。それは,そのご実践が日常だったからです。理論と実践との統合化を目指されますとともに,今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

山の合間を縫う名もない小川のせせらぎ
名もない小川のせせらぎ(素材提供 photoAC)
演習 「「個別最適な学び」/「協働的な学び」」とは「一体化」の連関性にある。」のか?

問 「個別最適な学び」と「協働的な学び」とは「一体化」の方向を指向するものである。
  この命題に対するあなたの考えを述べよ。

出題のねらい

塾長の述懐

「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)」(中央教育審議会,令和3年1月26日)には,「個別最適な学び」と「協働的な学び」との連関性を「一体化」と捉え,そのように言述してある。

現状の学校で行われる数多くの授業の様相を鑑みるとき,「一体化」を強調する言述になることは容易に理解できる。しかも,「一体化」と言述した方が何かと解りやすいと言ったところだろう。

それは「「二項対立」の陥穽に陥らない」と言述しながらも,例えば,一斉授業/個別学習,デジタル/アナログ,履修主義/修得主義及び遠隔・オンライン/対面・オフラインなど「どちらの良さも適切に組み合わせて生かしていく」(「4.「令和の日本型学校教育」の構築に向けた今後の方向性」)や「これまでの実践とICTとを最適に組み合わせていく」(5.「令和の日本型学校教育」の構築に向けたICTの活用に関する基本的な考え方)の「組み合わせて」と同様である。

しかし,果たして,ホントウに「一体化」もしくは「組み合わせて」が的確な言述なのだろうか?

当私塾の見解は「答申の世界に存在する〈語り手〉の欲望は「一体化」もしくは「組み合わせて」言説を構築することではない。」である。

「一体化」もしくは「組み合わせて」の言表は,飽くまでも一斉授業/個別学習,デジタル/アナログ,履修主義/修得主義及び遠隔・オンライン/対面・オフラインなど,日常の学校現場に現象化する表象を司る職能を託されただけだと考えられる。

では,答申中の〈語り手〉の欲望は何か?

この欲望を読み解くことこそが,本答申が他の答申の持ち得ない〈差異性〉を発見することにつながるのだ。

そこに本答申の神髄がある。

当私塾では本問について,即ち「答申中の〈語り手〉の欲望(=神髄)」について,既に塾生と〈対話〉済みである。〈対話〉済みではあるが,読者は然ることながら,塾生は再度,この「答申中の〈語り手〉の欲望(=神髄)」に耳を欹てみてもらいたい。そのためには,本答申やそれに関連する資料等を熟読することになろう。

それが本問のねらいである。

参考資料等
ミニ解説

本問にかかわり塾長が塾生に語った,その「語り」の一部を採録することにより,「ミニ解説」に代えます。

塾長の「語り」
塾長の述懐(「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体化?)

「塾長の述懐(「個別最適な学び」と「協働的な学び」との一体化?)[文字版]

「個別最適な学び」と「協働的な学び」との連関性については,そう容易く理解できるものではないでしょう。それ相当の〈学び〉を重ねる必要があるわけですよ。

これだけではないですけれどね,連関性を読み解くのに必要な概念等を以下[2]右欄の「塾長の徒然なる書き出し」のこと。にざっと書き出してみました。

これらを手掛かりに,飽くまでも手掛かりにして,それらから蜘蛛の巣状に伸びる諸概念のネットワークを探り当てて,あなたの脳裡で,統合的・多角的にその連関を再構築していただきたいと思うのです。

でも,教員にとって必要なことはね,こうした概念整理をきちんと行って,その連関を授業を初めとする教育活動に如何に落とし込んでいくかということなのです。

ここに教員としての力が要るのですよね。

確かに,学校は多忙を極めています。だからと言ってね,そんな難しいことを考える暇もないし,ましてやできない何ぞ言っていてはいけないわけです。それをどうやったらできるのかと考えないと。

いつまでも「できる/できない」の二元論だけでものを考えてね,結論はお決まりの「できない」では,それはあんまりにもね,眼前の子どもたちが可哀想すぎますよ。

多忙な中にも,例えばこうした連関を日常的に脳裡に巡らせ,授業化する思考癖を持って,初めて教員と言えるのです。

連関を意識して,例えば授業を行うのとそうでないのとでは,時が経過するほど,その教育的効果に大きな開きが出てくるはずです。

「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」

それが〈ホンモノの教員〉 というものです。

次の「塾長の徒然なる書き出し」に掲載した諸概念を参考に本問に正対してみてください。

塾長の徒然なる書き出し
(順不同,思いつくままの例示)
  • 止揚(aufheben)
  • 物心二元論
  • 人間(自我)中心主義
  • AARサイクル
  • 資質・能力の三つの柱とそれらのバランス
  • AI時代における態度及び価値観
  • 他者とのつながり(連関性)の〈相対化〉
  • AI時代の新たなコンピテンシー
  • 〈学び〉への(自己)責任
  • パースペクティブ・テイキング
  • 〈相対化能力〉
  • メタ認知能力
  • 抽象化能力
  • 批判的思考力
  • 運動能力
  • 社会的スキル
  • 認知的スキル
  • 情動的スキル
  • 協働性
  • 生きる力
  • レジリエンス
  • グロースマインドセット
  • マインドフルネス
  • 〈共創造(co-creation)〉
  • クリエーター
  • エージェンシー
  • 言語(運用)能力
  • ニューメラシー
参考文献
  • 『OECD Education2030 プロジェクトが描く教育の未来――エージェンシー,資質・能力とカリキュラム――』(白井 俊,ミネルヴァ書房,2020年12月)
  • 『「コロナ」から学校教育をリデザインする 公教育としての学校を捉える視点』(広島大学教育ヴィジョン研究センター(EVRI) 草原和博・吉田成章,2021(令和3)年6月)

© 2021 「鍛地頭-tanjito-」


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