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夏休みに家族で取り組む「お手伝い当番表」

マイホームをモチーフにした置物 「鍛地頭-tanjito-」の教育論
マイホーム(提供 photoAC)
この記事は約12分で読めます。

先日,「これは!!」というFacebookの記事に邂逅かいこうし,拝読しました。それは,しみずよしみさんが投稿されていた,「家族で取り組む家事当番表」[1]現在,リンク元不在です。最終アクセス 2019.8.4を紹介されている記事です。記事内に記述されていた「みんなのおうち」という表現にもグッと心を摑まれました。

すぐさま,記事にコメントをさせていただき,我が家に取り入れたい旨を伝えました。早々に,しみずさんから快諾のお返事をいただき,衷心より感謝申し上げます。

というわけで,さっそく我が家の「お手伝い当番表」を作成し取り組んでみました。

1 それぞれにできることを見つける

「お手伝い当番表」を作成する目的は次のとおりです。

協力・協働を通して家族の絆がさらに深まること

その目的を達成するために,つぎのような目標を立てました。

整理整頓の習慣を身に付けること

最近,課題はまだたくさんあるのですが,息子(軽度自閉スペクトラム症)が落ち着いてきており,娘も(ある程度)正しい方法で自己主張ができるようになってきた現状があります。これまで育児をめぐってバタバタ,ギスギスしていた家族関係をさらに改善・発展させる好機がようやくやってきたといった直感が私の全身に巡っていたのです。

「この機を逸してはならない。」

これが「お手伝い当番表」を作成しようと思った最たる動機でした。

また一方で,息子の特性からなかなか(本人も家族も)思うように整理整頓ができない状況は続いています。

「整理整頓を目標にして,これを媒介とすることにより家族の絆を一層堅固にできないか。」

とも考えたのです。

そこで,早速,我が家への「お手伝い当番表」導入に向けて,作成のための準備に取り掛かることにしたのです。

Masan
Masan

家庭教育を含める教育活動の実践には適正な目的(の設定)が必要です。副塾長の場合,2人のお子さんの成長を日常的に見極めていること,日常のコンテクスト(文脈)からお子さんたち,また家族総体としての課題を常に意識していたこと,主にこれらがマッチングして,上述の「「お手伝い当番表」作成の目的」が設定されたと考えられます。無目的で闇雲に実践するよりも,明確な目的意識を持って実践する方が効果が上がります。また,その目的をこどもたちと事前に共有し,実践後,目的を評価指標として反省・改善することが大切です。

Masan
Masan

一般論として,目的と目標とを混同してはいけません。副塾長の場合の目的は「協力・協働を通して家族の絆がさらに深まること」です。副塾長はその目的を達成するために,「整理整頓の習慣を身に付けること」とする目標を設定しました。そして,手段・方法として「お手伝い当番表」(「お手伝い」という方法)を作成(選択)したのです。「目的―目標―方法」の連関性を明確にした実践が大事です。

この取り組みについては,事前にこどもたちに説明し,それぞれができることは何かを話し合いました。そして,どのように分担するのかも母子で話し合った上で決め,8月1日(木)から実施することにしたのです。

そうして出来た「お手伝い当番表」がこちら↓↓

【出来上がった「お手伝い当番表」】

【出来上がった「お手伝い当番表」】

Sayosan
Sayosan
まだ文字を読めない娘にも,パッと見て理解しやすくするために,名前(文字)ではなくイラストで表現しました。
Masan
Masan

娘さんへの配慮に伴う視覚化(見える化)ですね。発達段階を考慮された取り組みだと思います。ただし,「文字」を覚えていくことは,言語活動に伴う思考力・判断力・表現力などを育成する上でとても重要なことですから,いつの段階で「イラスト」から「文字」へ切り替えるか,ここが副塾長の腕の見せ所ですね。

一つ一つのお手伝いを丁寧に取り組めるように,お手伝いの種類は多くしませんでした。あれもこれもと多くなってしまうと,「終わらせる」ことに集中してしまうので,全てが中途半端になることを避けたかったからです。さらに,いつも率先して子どもたちが行ってくれるお手伝いに加え,これまで私だけが行ってきた家事も加えてみました。将来の自立のためです。

この「お手伝い当番表」とともに,夏休み限定版のトークンシステムの目標も修正。3つの目標を見直すとともに,母子ともに共通した目標として,新たな取り組み(「とうばん表(ひょう)」)を追加しました。

【夏休み特別版のトークンシステム】

【夏休み特別版のトークンシステム】

そして,新たな親子スキンシップも導入することにしました。

2 朝と夜に行う親子スキンシップ

SNSなどで何度か拝見したことがある動画。 その動画とは,外国の小学校で,朝,児童が教室入り口の壁に貼られたイラストをタッチ。選んだイラストに描かれているスキンシップを担任の先生と行うというものです。

いつもグズグズと起きてくる娘に対し,少しでも楽しく起きられる方法はないものかと試行錯誤していました。そんなある日,「セレンディピティ(serendipity)」[2]「求めずして思わぬ発見をする能力。思いがけないものの発見。運よく発見したもの。偶然の発見。 … Continue readingが起きたのです。それはこの動画との出逢いでした。

「家庭でこれを実践したらどのような効果があるのだろう。」

「思い立ったが吉日」

これも導入してみることにしたのです。

「自分で選択するコミュニケーションツールを利用したスキンシップなら,楽しく起きることができるのではないか? 尚且つ,寝る前に取り入れることで1日の締めくくりのスキンシップになるのではないか?」

そこで,我が家では4つの選択肢を設定することにしました。

【起床.就寝時のスキンシップに使用するイラスト】

【起床.就寝時のスキンシップに使用するイラスト】

Sayosan
Sayosan

スキンシップの内容は
ハグ(左上),ハイタッチ(左下),くすぐり(右下),髭ダンス(右上)

Masan
Masan

「コチョコチョ,ハヒ~ッ」がある…
確か…娘さんは「髭ダンス」が好きだったよね…

7月31日(水)の就寝前,

「明日の朝から,こんなことをします。」

とイラストを持って子供部屋に行きました。この取り組みを説明し,練習を行ってみました。

まずは娘から。娘が選んだのは「髭ダンス」です。(笑)
「娘が選ぶのは,これだろうな。」と予想はしていました。見事に当たりましたね。

Sayosan
Sayosan

塾長,大正解!!

Masan
Masan

…………。
これ…スキンシップ?…
もしかして,副塾長が踊りたかったのでは…?

母子共々満面の笑顔で髭ダンスを楽しみました。

Masan
Masan

やっぱり…

次は息子です。息子が選んだのは「くすぐり」です。これも,予想通りでした。布団の上を大声を出して笑いながらコロコロ転がり逃げ回るのです。

ほんの30秒程度のスキンシップですが,終えるタイミングで「ピシッ!!」と号令を掛けます。その号令を合図に,家族全員でキリっと「気を付け」をします。こどもと私とが姿勢よく向かい合って立ち,「おやすみなさい」とゆっくりとあいさつを交わし,2人のこどもたちは一人ずつ布団に入っていきます。いつもなら,布団に入ってもダラダラと,なかなか寝付かなかったこどもたちが,ものの数分で寝息を立てるようになったのです。

仕事がかなり忙しくなり,スペシャルタイム[3]一人ひとりのこどもが主体となって母親(私)と遊ぶ時間のこと。遊びの主導権はこどもにあります。がなかなかできない状況でしたので,それに代わるものを見つけられて良かったと思っています。今後,息子と娘それぞれの様子を見ながら,選択肢を増やしていく,または,変更していこうと考えています。

3 いよいよ,お手伝いお当番さん開始!!

令和元年8月1日(木)
いつも通りに目が覚めた私は,ラジオ体操に参加する息子を起こします。

「昨日の夜にやったように,絵を見て何をするか選んでおいで☆」

そう言い残し,先に布団から出た私。すると,いつもはダラダラ起きてくる息子が「これやる!!」と近づいてきたのです。息子が選んだのは,やはり「くすぐり」でした。(笑)

起床時も就寝時と同じように,スキンシップを終えると同時に「ピシッ!!」と号令を掛け,「気を付け」をし,お互いに姿勢よく向かい合って「おはようございます!!」とあいさつを交わします。この行動によって,副交感神経から交感神経に切り換わった(ように見える(笑))息子は,さっと着替え・歯磨きなどの準備ができたのです。そして,母子でゆったりとラジオ体操に向かったのです。

娘はというと,これまで通りグズグズしていて,スキンシップができる状態ではありませんでした。しかし,娘なりに準備を一通り終えると私のもとにやってきて,

「母ちゃん,昨日の夜にしたやつはせんのん(しないの)?」

いてきたのです。そこで私は,

「あれは,布団から出てきて「おはようございます」という時に一緒にやります。」

と説明。すこし残念そうな表情を浮かべた娘でしたが,

「分かった! 明日からする!」

と少し気持ちを切り替えることができたようでした。

さあ,朝の支度を終えると,いよいよお手伝いお当番さんの始まりです。

Sayosan
Sayosan

初日のお手伝い割り当ては,息子は皿洗いと埃取り,娘は洗面台掃除と掃除機掛け,私は玄関掃除とトイレ掃除でした。

初日は,掃除のやり方(基本)を教えるところから始まりました。

おそうじ基本4原則 | おそうじ(お掃除)大辞典 | お掃除用品のダスキン
おそうじ基本4原則。苦手なことでも、コツがわかれば楽しくなる。おそうじだって当然、同じです。基本を知ることで、さあ上達への道を一歩前進!
ほこり取りをする息子
Sayosan
Sayosan

普段から,埃取りをしてくれている娘がお兄ちゃんに「(おじいちゃんの)遺骨カプセルを丁寧に扱うように」とアドバイスをしていますね。それを素直に受け入れる息子もvery good!!

掃除機を掛ける娘
Sayosan
Sayosan

前に~後ろに~前に~後ろに~。上手!! 上手!!

これまで,普段,7時過ぎに自宅を出て登校する息子に掃除のお手伝いはあまり定着していません。したがって,息子には掃除の基本である「物を避ける→きれいにしたら元の場所に戻す」を覚えてもらいました。掃除に慣れている娘には,敢えて少し難しいお手伝いに取り組んでもらいました。息子も娘も,「自分にできること」を新たに見つけた瞬間となりました。

4 家族みんなの〈いえ〉

実は,「お手伝い当番表」を始めようと思った背景に,「夏休みに伴う生活リズムのズレ」がありました。起床時間は同じでも,朝,一緒にいる時間が長くなり,この時間を持て余している状態だったのです。夏休みの宿題(ドリル系)は終わっているし,ただダラダラと過ごすのではなく,有意義に時間を過ごせないものかと考えていたところで,しみずよしみさんが投稿された記事[4]現在,リンク元不在です。最終アクセス 2019.8.4を目にしたのです。

また,これまで「家事は保護者が主体で行うもの」という気持ちが私の心底にありました。したがって,こどもたちにお手伝いはしてもらいながらも,実質,ほぼすべてを私が行っていたのです。仕事と家事との両立は思っていた以上にハードです。この機会に,こどもたちの成長を視野に入れた家事の分担をしてみようと考えたのです。

拝見した記事の中に記述されてあった「みんなのいえ」という表現(発想)。私は,この表現(発想)に衝撃を受けました。家庭内でそれぞれが孤立して過ごしているわけではなく,共同のもと過ごしているのだから,今この場所(住居)は「(家族)みんなのいえ」なのです。

「何を今更分かり切ったことを言っているのだ!?」

と思われる方がおいでかもしれません。しかし,(2人のこどもには申し訳ないのですが,)息子と娘,それぞれを一人格として見つめる(尊ぶ)感性が,私には希薄であったことに気づいたのです。そうではないと思っていたのです。ですが,

「こどもは私にとってはいつまでもこども。」

こうした感覚が抜け切れていなかったのではないのかと。勿論,こどもたちと私との関係性は「こども―保護者(親)」に間違いありません。ですから,いつまで経っても,その関係性は変わらない。しかし,そこに〈所有意識〉が働いていたら。

こどもたちは私の「所有物」になってしまうのです。

そのような無意識の中では,塾長がよく口にする〈個の尊厳(dignity)〉が欠落しているのではないかと思うのです。したがって,「家」も私だけの「所有物」。そこに住まわせているこどもたち。こうした無意識が生産されているのではないのかと。

この無意識に気づいたとき,息子,娘,そして私の3人の家は「みんなの〈いえ〉」になったのだと思うのです。

これらの思いをこどもたちに分かりやすいように,苦労しながら説明し,

「これまでは母ちゃんが全部やっていたけれど,これからはみんなで協力してやりましょう。」

と締めくくったのです。

「わかった~!!」

と張り切った返事が返ってきたことに,なぜか安堵した私がありました。

「こどもたちの前向きな気持ちを失わせることのないよう,今後,私がどのようにかかわっていかなければならないのか。」

また,大きな課題が立ち塞がりました。

さて,職場で塾長にこの当番表の取り組みについて話し,表を見ていただきました。すると…。

Masan
Masan

この当番表そのものに,お手伝いをしたことの評価が視覚的に把握できるような工夫を入れ込んだら? そうしたら,もっと楽しくお手伝いができるのでは?

と助言してくださったのです。評価の考え方や具体的な方法など,とても納得のいくアイデアを提供していただいたので,さっそく改善していこうと思っています。改善した当番表については,また後日,記事にしたいと思いますのでお楽しみに☆

Masan
Masan

今回の副塾長の実践のポイントは,お子さんたちだけではなく,保護者である副塾長も一緒になって目標を共有したことにあります。清掃等のお手伝いを手段として整理整頓を習慣付ける。副塾長も目標を達成しようと体を張って頑張っているのです。きっと,その姿にお子さんたちも感化されたことでしょう。「僕/私もがんばらなくてはならない。かあちゃんも頑張っているのだから。」実はこうした関係性が学校等の「(乳幼児・)児童生徒―教員等」間で起こったとき,「共感的人間関係」が構築されたと捉えます。「生徒指導の三機能」の内の一つです。こうした関係性が構築された学級(ホームルーム)には,教員に対する信頼が生まれる傾向にあります。副塾長一家はまさにそれを体現しようとしているのです。

「生徒指導の三機能」とは
参考:『生徒指導提要』(文部科学省,平成22年3月,p.5)
  • 児童生徒に自己存在感を与えること
  • 共感的な人間関係を育成すること
  • 自己決定の場を与え自己の可能性の開発を援助すること

こどもたちの発達に応じたお手伝いと,先を見据えたチャレンジのできるお手伝い。こどもたちの様子をしっかりと見極めながら,この取り組みが母子の新たな成長につながればと祈ります。

© 2019 「鍛地頭-tanjito-」


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