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塾長の述懐 第19回 ラクとトクー教採を振り返ってー

夜空に燦然と輝く月齢14.0の中秋の名月 塾長の述懐
中秋の名月(月齢14.0)[素材提供 写真AC]
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 1 教採を振り返ってー途中経過ー

当塾の塾生・受講者に1次選考の不合格者はいない。地で行く正真正銘の少人数精鋭。母数が少ない。おまけに1次・2次統合の一発選考の受験者もいる。選考日は訪れていない[1]本ブログをアップした際には,選考は終了していた。

2次選考,主に面接選考等の情報が耳に届く。積極的に情報収集を行うわけではない。塾生・受講生に至上命令の如く,選考に関する報告を義務付ける気は毛頭ない。

当塾でしっかりと学んでいれば,「どんな問題が出たか!?」,そんなことは全く問題にならない。どのような出題がなされようが教採のレベルだから,総じて当塾の〈学び〉のレベルを超える問題が出題されることはない。種々の地方自治体による選考情報を全て寄せ集め,解答したとしても,塾生ならばほぼ満点近くが取れていなければならない。

ある受講者:「鍛地頭-tanjito-」で学んでいたから,2次選考が簡単に思えました。

それにしても,小耳にとまった面接選考等の情報についてしみじみと思う。

「レベルが下がっている。」

デカルト二元論の終幕とポストモダンの終焉を一部象徴するような学習指導要領の改訂は意図的か? それでいて,(確かに,聞きかじった情報だけで判断するのは早計だから,判断はせず,心底から湧出してきた単なる感慨として,)選考の低レベル化か!? 

昨今,筆者が危険だと心を痛めることを洗い出すかのように,ある大学関係者が述べた言葉がさらに心を痛めつける。

「最近の学生に多いタイプ。それは,直面した問題に対して自己の有する10の力ではなく,どうやったら2~3でその問題が解決できるかに躍起になるタイプ。」

別に学生だけの問題ではない。巷間に瀰漫しているタイプだ。そうした思考性で問題解決ができるのならば合理的であろう。しかし,現実は厳しい。問題解決ができたと思っても,それは自己満足であることが多いはずだ。

こうした功利的なタイプの根底には「ラクとトク」のメジャーを据える者が多い。自分がラクをし,トクをすれば良いのである。そして,今や巷間を席巻する強力なラクトク言説の権威性を借りて(しかし,実はその言説の権威性にすら気づかない者の方が多いのではないかと思うが),ラクトクを排除し,コツコツと学問に忠実に正対する学徒をどこか心の底で冷笑しているのではなかろうか。

「要領が悪い。」「ラク(を)すれば良い(トクな)のに。」

ラクトクのためには,教採対策の飛び道具と時間をお金で買えばよい。こうした思考性だけしか有しないのならば,(例えば,)失敗を繰り返す問題解決学習的な探究の術・精神が身に付くわけがない。そこに学問する態度は微塵もない。教採対策は学問でなければならぬ。

しかし,ラクトク体現者も教員を目指す。(例えば,彼ら/彼女らは)学習指導要領に措定された学力の三要素を持ち合わせているのか?(学力の三要素は全ての教育活動の根底にあるのに…。)どうやって問題解決学習を教えるのだ? 乳幼児・児童・生徒にラクトクの在り方を教えるのが関の山だろう。

時代はもうじき本格的なAI時代を迎える。AI時代を迎えれば,ホントウに優秀な教員しか生き残れないだろう。総合的な人間力(=〈地頭〉)を鍛えられた(=「鍛地頭」)教員でなければ,創造力を持ってAIと〈新しい教育〉を〈共創造(co-creation)〉することは困難だ。教員の自然淘汰(否,人為淘汰かもしれない)が起きる。

「なんだ,面倒臭い塾だなあ~」「そんな難しい学習をして何になる。教員になってから覚えば良い。」[2]ホントウに覚えるのか否かについては甚だ疑問である。

これだけは言明しておきたい。自己のラクトクだけを考える教員(志願者)に「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」の視点は全くない。無責任極まりない。

選考のレベル低下はコロナ禍の煽りであることを切に願う。

 2 「合格道場」既に満員御礼!!

今夏,当塾の講座体系を見直した。受講の難易度を明確に定め,定員をさらに絞り,〈ホンモノの教員〉の養成に磨きを掛けることにした。

中でも,上級レベルに位置付く「合格道場」(講座名)は定員2名で,受講に際して次の条件を具備する。

「合格道場」受講者が具備する条件(例)
  • 教員としての高い資質・能力の育成を目指す者
  • 教採をぶっちぎりの上位成績で突破したい者
  • 教採対策としての〈ホンモノの学び方〉を極めたい者
  • 学び続ける意欲のある者

時を同じくして令和2(2020)年8月25日(火),「合格道場」に(本来は来夏の教採を目指すための)「満員御礼」札が下りた。正直なところ驚いた。「満員御礼」と言っても定員2名だから大仰なものではない(笑)。それでも,驚いた。

入塾者は(契約を更新する)現塾生と現受講者だった。

お二人とも選考の合否は発表されていない。この時期だから当たり前だけれど。就中,塾生の方は今夏の選考日すらやって来ていない。

「選考の合否に関係なく,当塾で学びたい。」
「教員としてのホンモノの力を身に付けたい。」

口々にこのようにおっしゃった。

首肯した。お二人とも当塾の課題に真摯に取り組まれ,一題一題,徹底的に調べ上げ,とことん考え,(当塾との)〈対話〉を繰り返し営まれる学問に忠実で熱心な方々だったからだ。〈ホンモノの教員〉を目指す方々である。お二人とも合否が分かれば,合格の場合,「「合格道場」を希望される方が他におられるだろうから,(今見ぬ)その方々に席を譲り,(自らは)当塾の他の講座を受講する。」とも。

驚きはまだ続いた。

選考を存分に楽しまれ,終了された当日,別の受講者からの予約が届いた。

「合否が出るまで,アラカルト講座の学習指導案作成錬成講座か小論文作成錬成講座を受講させていただきます。教壇に立つ前に(教員としての)力を(さらに)付けておかないと。」

塾生や受講者から頂いた〈学縁〉の有り難さに感動・感謝した。

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