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教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」vol.43 「アンダーマイニング効果」/「創作 場面指導」

夕暮れのまだ青味の残る空を背景に浮き上がる金色のトロントの街 一般ブログ教材
カナダのトロントの夜景(提供 photoAC)
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〈超越〉の境のセキュアーベースに誘うものは,「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」の心底から湧き上がる浄化された信念のみである。(本文より)

 1 PROLOGUE

(1) 新採打聞

この話は打聞である。直截視認したわけではない。つまり,バイアスが掛かっているかもしれない。それでも言述しておきたい。なぜならば,〈事実〉であれば,いたたまらないからだ。「学校教育に携わる何某」の話だ。

塾長,ある学校でこのようなことがあったそうです。ある児童への指導をめぐって,ベテラン教員が新規採用の先生に「学年団として斯く斯く然々の指導方法を用いてみよう。」と。当該の新規採用の先生が応えて言うには,「その方法には即効性があるのですか? 即効性があるのならばやりますが,そうでないのならばやりません。時間・労力の無駄です。」

「学校教育に携わる何某」は続けた。

最近,こうした先生が増えているそうで…。次世代の管理職となる中堅教員たちが管理職になりたがらない(傾向が見受けられる),中には断念する者も出る始末だそうです。えっ,理由ですか? 「こうした先生」たちの指導をする自信がないとか何とか言って…。さらに,学校の中でも教頭先生は忙殺されている。そうした姿を目の当たりにすることも原因の一つのようですが…。

ある大学関係者に聞いた話を思い出した。

近頃の学生は問題/課題解決に自身が10の力を持っていても,どうやったらそれを20,30の力で解決できるかを考える傾向にあるように思う。20,30の力で十分な問題/課題解決ができなくてもだ。

(2) 報酬と動機付け

ア アンダーマイニング効果(undermining effect)

教員採用候補者選考(以下,「教採」と表記)に挑んでいる皆さんは御存知のはずのエドワード・L・デシ[1]Edward L. … Continue reading。1971年にデシとマーク・R・レッパー[2]Mark R. Lepper :1944年生まれ。スタンフォード大学心理学教授。帰属理論と確証バイアスの研究で知られている。が行った心理学の実験で判明した「アンダーマイニング効果(undermining effect)」は有名である。

内発的動機づけによって行われた行為に対して、報酬を与えるなどの外発的動機づけを行うことによって、動機づけが低減する現象をいう。 例えば、好きでしていた仕事に対して褒美を与えると、褒美なしではやらなくなってしまう、などの現象。

コトバンク:アンダーマイニング効果;ナビゲート ビジネス基本用語集の解説,出典 ナビゲート[3] … Continue reading

教育心理学の世界では,「報酬」は報酬でも,特に「予告された報酬」は人間の創造的な問題解決能力を毀損することが明らかとなっている。「予告された報酬」は内発的動機付けを減衰させるのだ。ある組織内において他者に創造性や問題解決能力をフルに発揮してもらおうと,特に「予告された報酬」を支払っても,却って創造性は減退し,組織力はダウンしてしまうということだろう。――抑々,他者に頼る前に,自らが創造性や問題解決能力を磨けば良い話だ(笑) そう言えば,「創造性」や「問題解決能力」はこれからの〈新しい時代〉の〈新しい教育〉を担っていく教員に必須の資質・能力だ。 ――

👉 「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)」(中央教育審議会,令和3年1月26日)

イ 自己決定理論(self-determination theory)

デシの研究からは,報酬を約束された被験者のパフォーマンスは低下し,予想しうる精神面での損失を最小限に抑えようとしたり,あるいは出来高払いの発想で行動したりするようになることがわかっています。つまり,質の高いものを生み出すためにできるだけ努力しようということではなく,最も少ない努力で最も多くの報酬を得られるために何でもやるようになるわけです。加えて,選択の余地が与えられれば,そのタスクを遂行することで自分のスキルや知識を高められるような挑戦や機会を与えてくれる課題ではなく,最も報酬が多くもらえる課題を選ぶようになります

山口 周(2018.5):『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』,第2部 知的戦闘力を最大化する50のキーコンセプト,第1章 「人」に関するキーコンセプト,14 予告された報酬――「予告された」報酬は,創造的な問題解決能力を著しく毀損する エドワード・デシ,[キンドル版],検索元 amazon.com,下線は筆者が施した。…A

前節の「打聞」に渋面を作った数日後,山口周氏の上掲の書籍を読んでいてセレンディピティーは起こった。上記引用文中の下線部を目の当たりにして,前節の「ある大学関係者」に聞いた話を想起したのである。

そして,思った。

「この話,学生に限った話ではない。」

ただし,アイゼンバーガーとキャメロンのように報酬が内発的動機付けを低下させることはないと主張する向きもある。

確かに,筆者自らの長い教職歴の中で,外発的動機付けから内発的動機付けへの移行を経験したことがある。当初は内発的動機付けの低い生徒に(『生徒指導提要』でお馴染みの)生徒指導の三機能――①自己存在感を与える ②共感的人間関係を育成する[4] … Continue reading ③自己決定の場を与える――を生かした指導を計画的に継続するうちに,段階的にではあるが,成功体験を重ねる当該生徒が自律性・有能感(コンピテンス)を有し始め,自己決定性を強めたのである。これは報酬のために自己が課題に取り組んでいるかのように感じてしまう「過正当化(過剰な正当化)効果」ではなく,課題の意義性・重要性が徐々に内化した結果と考えられる。ただし,この場合の報酬は当該生徒への温かい言葉掛けと熱い〈教育愛〉だった(エンハンシング効果(enhancing effect))が…。

デシもこの外発的動機付けから内発的動機付けへの移行について述べており,これを「自己決定理論(self-determination theory)」と呼んでいる。

ウ アンダーマイニング効果(undermining effect)と教採・学校教育界

上述した引用Aを一瞥した時に思った。

「教採受験者も然り。」
「教職員の世界も然り。」

勿論,全て(全員)というわけではない。

「正解至上主義(ここが出題されるから,(理屈や現場の喜びや苦しみなどは抜きで)答えを丸覚えしておけ式)の教採対策を行っておけば合格するんだ。」という「予告された報酬」は受験者のパフォーマンスを低下させ,予想しうる精神面での損失を最小限に抑えよう(≒自らの・・・合格だけを夢見て正解至上主義に浸り,即戦力・実践力の育成といった苦衷を孕む,本来は崇高な努力を無駄な努力と考え,それは止めよう)としたり,あるいは出来高払いの発想(≒合格を可能にすると思われる最小限の表層に過ぎない教採対策)で行動したりするようになる。(そして,それを「じょうしき・・・・・」と錯覚する。)

「これだけの給料だから」という「予告された報酬」は教職員の教育活動に係るパフォーマンスを低下させ,予想しうる精神面での損失を最小限に抑えよう(≒指導に懸命になるのはバカらしいから,抑々面倒臭い指導というものに自己のエネルギーを費やすのは止めよう)としたり,あるいは出来高払いの発想(≒給与を基軸に勝手に値踏みする教育活動の対価の算出)で行動したりするようになる。(そして,それを「せいぎ・・・」と勘違いする。)

したがって,教採受験者にせよ,教職員にせよ,「質の高いものを生み出すためにできるだけ努力しようということではなく,最も少ない努力で最も多くの報酬を得られるために何でもやるようになるわけ」だ。――繰り返すが全員というわけではない。

特に,教採対策の場合,「加えて,選択の余地が与えられ」ているので,「タスクを遂行することで自分のスキルや知識を高められるような挑戦や機会を与えてくれる」ホントウの意味・・・・・・・での学びの場ではなく,「最も報酬が多くもらえる」,表層上の合格をチラつかせた対策だけの場を選ぶようになり,例えば,〈教育愛〉や〈相対化〉を含む問題解決能力(≒抽象化能力)等に瀕した状態で「りっぱなせんせい・・・・・・・・」として教壇に立つのである。――立たせてしまう「養成教育→教採→現職研修」自体も問題だ。

「(自己だけにとっての)損/得」の心のメジャーは,自己の一面という具体しか見ることのできない抽象化能力(≒問題解決能力)に欠けた者が二項対立の陥穽に陥ったまま固執する無意識裡の勲章である。

エ 「アメ」と「ムチ」との二項対立からの〈超越〉

「そうであるならば,即刻(全ての教職員の給与制度に)能力給をシステム化すべきだ! そうだ! 「予告されない・・・・報酬」が必要だ!!」

「アメ」とくれば「ムチ」とくる。「ムチ」と言えば「アメ」と言う。どうしてこのように具体的事象の一断片だけを見てしまうのか。押し並べられた諸々の具体的事象から抽象化する訓練の機会を剥奪されてきたからだ/自ら求めて来なかったからだ。具体的事象を俯瞰し,〈相対化(≒抽象化・メタ化)〉することを〈学び〉とする(学校)教育が主流をなすことはなかった。只管,正解という名の一具体的事象だけを追い回す偏差値偏重教育(正解至上主義)が我が物顔に蔓延ったのだ。――こうした言説を(このブログ教材の読者が)「脱偏差値教育/偏差値偏重教育」の二項対立で読んだとしたならば,恐らくその思考性こそが〈二項対立〉だ。具象を照射しないところに抽象はない。

「抽象化」の作業を繰り返せ。―相対化能力・問題解決能力等を鍛えろ。―やがて繰り返した先に〈超越〉の裾野は見えてくる。この過程こそが,現代の教職員が真っ先に行うべきことであり,「それを行うこと⇄それを身に付けること」ができることこそが最大の資質・能力なのである。――そのためには,言語(運用)能力を磨け。

「官(管理職等)/民(一部の教員等)」の二項対立の時代は終焉を迎えた。――そのことに「官・民」共に即刻気付くべきである。〈時代〉の〈パラダイム〉を読め。常時そうであった教育界のアナクロニズムの陥穽に陥るな。〈時流〉の速さは先の時代のそれに非ず。――二項対立の相克のエネルギーは「アメ」でもなく,「ムチ」でもない一段高次のステージに向けた〈超越〉のための統合のエネルギーと化さなければ〈嘘〉なのだ。

〈超越〉の境のセキュアーベースに誘うものは,「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」の心底から湧き上がる浄化された信念のみである。

 2 創作 場面指導

Attention!

次の「場面指導」の問題は当道場のある塾生が「場面指導Weekly解説ルーム’19」を受講後,その総括のため,個別指導の一環として作成したものです。作問としてぎこちない点についてはご海容いただき,出題者の意図をお読み取りくださることによって,ご解答願えればと思います。

勿論,当道場の他の塾生等は本問の作成に協力し,全員がそれぞれに解答しております。

塾長の述懐

なぜ場面指導の「演習(教採で言うところの「たいさく・・・・」)」を行った後に,作問の課題を課すのか? その点について,塾長が「具体⇄抽象(抽象化)」による学校現場で必須の(教師の資質・能力の一つである)抽象化能力(≒問題解決能力)の育成を絡めて,次にボイスメッセージをお届けしております。

♬ なぜ場面指導の作問か?

出題

ある日,勤務校であなた(会話中「B先生」)は,ベテラン教員のA先生に次のように言われました。

「B先生,(新型)コロナウイルス感染症の流行は対話的な学習を難しくしたと思わないかね。まずグループワークはできない。この状況下で主体的・対話的で深い学びはできないね。これを機に従来どおり教師主導,知識注入型の授業に戻そうよ。」

この後,あなたはA先生に何を語りますか?

まず,あなたは,あなたがベテラン教員のA先生に(言語・非言語を交え,)語らなければならない大きなフレーム[5]本問のA先生の発言に答える思考の枠組みといったところか。がいくつあるのかを考えなければなりません。いくつありますか?

次に,それら,それぞれのフレームの中で何を言述するのか,そのポイントを考えなければなりません。

最後に,それらのポイントを語るフレーズを考えます。

本問の解答を考える上でポイントとなることは,次のとおりです。

  • 「主体的な学び」とは何か?
  • 「対話的な学び」とは何か?
  • 「深い学び」とは何か?

文部科学省の見解をバックに自らの言葉で((バックにある)内容を違えず)これらについて説明できますか?――現時点で「できない」ということになれば「教採は危うい!」というよりも,(そのままの状態で)学校で真面な授業ができるわけがない!

就中,「対話」とは何ですか? ここが最大のポイントです。

「コロナ禍で「対話」ができないのならば,「自問自答」させれば良い(だから,コロナ禍でも「主体的・対話的で深い学び」はできる)。」という声が聞こえて来そうですね。――「対話」における「自問自答」が〈対話〉である所以を解っていますか? 「自問自答」が〈他者性〉を必要とすることにより,(実体を伴う他者との)「対話」も必要となって,それも相俟って《対話》と高次化することが解っていますか? しかも,「自問自答」だけしか考えられませんか?

当道場ではこうした解答(*)は〈解答〉と見做されません。なぜならば,こうした解答(*)を行う人は(さっぱり)解っていないのだから。

因みに,(出題の対象となっている)B先生の応答は別にコロナ禍だけの話ではありませんよね。

2020年「鍛地頭-tanjito-」が開講する「場面指導Weekly解説ルーム」のコマーシャル用フライヤー(講座のメリット編)
場面指導Weekly解説ルーム’20

© 2021 「鍛地頭-tanjito-」 


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