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周利槃特とトイレの神様が教える日本の学校で児童生徒が掃除をするわけ

鏡に映る学校のトイレ 「鍛地頭-tanjito-」の教育論
この記事は約4分で読めます。

生きる自分への自信を持たせる「鍛地頭-tanjito-」塾長の小桝雅典です。
今回のテーマは,【学校掃除の意義について】です。

【塾長の朝は玄関掃除から!!】

私は,毎朝,目が覚めると,猫の額よりも小さい我が家の庭の草木に水をやり,玄関の掃き掃除を行います。

今朝は,近所の小学生が遠くから私を見つけ,にこやかに

「おはようございます!!」

と,立ち止まって挨拶をしてくれました。

「おはようございます。」

玄関のテラスを掃く箒を持った手を止め,私も,つい,にっこり。挨拶を返します。

清々しい一日の始まりでした。心が洗われます。

すっかり秋を感じる朝の微風に心を合わせ,箒で掃き続ける手に力が入ります。奇麗に掃き清めていく玄関のテラスを見て,さらに力が入ります。私の心が,浄化されていくのがわかります。

玄関のテラスが奇麗になればなるほど,〔もっと奇麗にしたい!!〕との思いが募ってきます。それとともに,〔掃いても,掃いても,また汚れるのだから,また奇麗にしたい!!〕とも思います。

「なぜ日本では児童生徒が学校掃除を行うのか?」

古いのですが,おもしろいデータがあります。

・児童生徒が掃除を行う国 34.3%
・掃除を専門家に任せている国 58.1%

(『学校掃除:その人間形成的役割』,沖原豊編著,学事出版,2013年12月)

結論から言えば,主に東アジア(特に仏教圏)では,児童生徒が自ら学校掃除を行っているわけです。そう言われてみれば,文部省(当時)による派遣研修により,ちょっとだけカナダで教鞭をとった時,私は,派遣先のWalnut Grove Secondary Schoolで,業者の方が校内の掃除を一手に引き受けておられる姿に驚いたものです。

ここで,またまたおもしろいお話を一つ。

先程,「おもしろいデータ」を紹介しましたが,その編著者でいらっしゃる沖原豊先生から,先生のご講義で教わったお話です。私が大学生時代に受けさせていただいた「教育原理」のご講義でした。

みなさんは,掃除で悟りを開いた周利槃特(シュリ・ハンドク)というお釈迦様のお弟子さんをご存知ですか? 記憶力が悪く,自分の名前も書けない。周囲の人に教えてもらって,自分が人から呼ばれたことがわかる。だから,ましてやお経を覚えることなどできない。修行に絶望感を抱いた周利槃特。

ここでお釈迦様の登場です。お釈迦様は,周利槃特に1本の箒を与えられたのです。

「垢を流し,塵を除く」

この言葉を唱え,精舎を掃除し続けるようにおっしゃいます。これが,お釈迦様が周利槃特に与えた唯一の修行だったのです。

何年も何年も周利槃特は掃除をし続けます。そして,ある日,(一説には,二十年が経過した頃,)遊んでいた子どもたちは周利槃特がきれいにした場所を汚してしまいます。

「こらっ,どうして汚すんだ!!」

箒を振り上げて怒鳴った周利槃特。瞬間,彼は本当に汚れていた場所に気づくのです。掃いても,掃いても,穢れてしまうのが「(世)人の心」と悟った周利槃特は,仏の教えを理解し,阿羅漢果を得ます。

掃除をする周利槃特
掃除で悟りを開いた周利槃特

日本を初めとする多くの東アジアの学校で,児童生徒自らが掃除をするわけ。それは,ここにあったのです。

「垢を流し,塵を除く」

こうした行為を続けることこそが,「(世)人の心」の「垢」や「塵」を払い除く意味においてとても重要だということです。だから,児童生徒は,毎日,学校の掃除をし続けるのです。まさに,「人間形成」ですね。そうであるならば,「先生」も,毎日,学校の掃除をし続けている……………はずなのです。

【ささやかな実践1】

(高等学校の)教員時代の私は,掃除当番の生徒が代わるたびに,「なぜ日本の学校では君たちが(先生も)掃除をするのだろう? 明日までに調べてきてね。」と語ったものです。実際,当番の生徒全員が調べてくるまでに,約1週間近く掛かりましたね(笑)

でも,それぞれの生徒が調べてきたことを発表していくうちに,一人ひとりの生徒が「掃除という行為」に対して(少しでも)真剣に向き合うようになったと思います。「心の浄化による人間形成」は学校掃除の大きな意義の一つなのです。

《次回のブログ》
いよいよ,トイレの神様が姿を現します。民俗学を援用しながら,「児童生徒が学校掃除を行うわけ」について,「鍛地頭-tanjito-」の持論を展開します。ご期待ください。

【関連ブログ】

「塾長のカナダ武勇伝(?)―その1 プロローグ―」(住本小夜子,BLOG「鍛地頭-tanjito-」,2018.12.18)

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