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教員としての資質能力が
本気で問われる時代!!
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令和3(2021)年2月2日(火)から令和3(2021)年3月30日(火)まで
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1 プロローグ
令和3(2021)年,第1号となる「ブログ教材」です。
改めまして本年もよろしくお願い申し上げます。
当道場は年末年始と数多くの〈学び〉を創造して参りました。休業を取り止め,正月三が日を含めた連日,塾生・受講者と各種講座・添削を展開し続けておりました。
乳幼児・児童・生徒を常に思い,真摯に学び続けることは何と楽しいことか。偏に教育愛に燃える塾生,受講者及び卒塾生(現役教員)のお蔭であると感謝申し上げる次第です。
ここにその塾生,受講者及び卒塾生に年始に宛てた当方のチャットをご紹介し,本年をスタートするに当たっての「鍛地頭-tanjito-」の決意を宣言いたします。
明けましておめでとうございます。
本年も〈学縁〉を深め,広げて参りたいと思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
まずは,多面的・多角的・総合的に他者や事象を理解するシステム思考が可能な教員を育成したいと思います。(ありのままの児童生徒理解の基盤です。)
そのためにも,多様な視点形成が必要です。したがって,認知プロセス上の「知覚」ステージにおける〈知覚力〉を鍛えることが重要となります。つまり,非言語を含む「言語(運用)能力」を鍛えることです。
また,芸術に通じ,多領野から豊富な情報を取得することが必要です。
〈知覚力〉の育成なくして〈問題解決能力(≒思考力・判断力・表現力等)〉は育ちません。〈知覚力〉及び〈問題解決能力〉が育っても,「思考・思念」を実行に移そうとする意志が育っていなければ,さらに実行することができなければ,〈新たな価値〉の創造を成し得ません。
二元論的な時代は確実に終焉に向かいます。これからは間違いなく一元論的トランスモダンの時代が到来します。(現在,既にその模索は始まっています。その左證は学習指導要領です。総合的な学習(探究)の時間等で行う系統学習による知識と問題解決学習による知識との止揚(aufheben)過程を学び方として学ばせることを一例として挙例することができます。)
上述した各種の〈能力〉の育成は二項対立の思考性を超越し,時代のジンテーゼたる高次の〈新たな文化〉形成を可能とする知的創造の源となります。(だから,学習指導要領も「資質・能力の3つの柱」の育成を求めるのです。)
二項対立からの超越に不可欠な要素はエゴイズムからの脱却です。他者を一面的に理解し,自己の損得勘定(「自分だけ良ければそれで良い。」)のみをメジャーに持つ「根源的な悪」とカントが称したエゴイズムを殲滅するとともに,パターナリズムを駆逐し,利他的に,ポストノーマライゼーションの思考性の下,孔子の説く「恕」の心性を持って〈生〉を営む必要があるのです。
己の欲せざるところは人に施す勿れ
(学校教育で「特別の教科 道徳」が重要視される理由をそのように考えたい。「思いやり」とは他者を大切にし,自己を大切にすることなのです。⇦人権教育の考え方)
これからの時代は他者にAI及びそれを搭載したロボット(AIとロボットとは別概念)を含む予測不可能な時代になります。人間の界隈で生起する問題は多様化・複雑化・難化を極める混沌とした時代を迎えるのです。〈他者とのつながり(≒共存,〈共創造(co-creation)〉〉なくしては生き辛い世の中になるのです。したがって,エゴイストたちはこの〈他者とのつながり〉の網の目から篩に掛けられ脱落してしまうに違いありません。学習指導要領でも〈他者とのつながり・かかわり〉が重要視されています。
さて,以上の筆者の述懐は主語が揺れ動いています。「乳幼児・児童・生徒―教職員・大人」の間で揺れ動いているのです。
揺れ動いているということは全てが主語になると考えることもできます。上述した力量の形成はこれからの時代を学び続け,生き続ける全ての主体に必要なことであると思うのです。
「鍛地頭-tanjito-」はこうした(遠慮して述べれば)主義・主張の下,本年も地道に歩んでいく所存です。
何卒よろしくお願い申し上げます。
「鍛地頭-tanjito-」
塾長 小桝雅典
2 教採アラカルト(教員の資質能力)
出 題
問 次の文章は「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」(中央教育審議会,平成27年12月21日)の「2.これからの時代の教員に求められる資質能力」の一節である。以下の各問に答えなさい。
◆ ①これまで教員として不易とされてきた資質能力に加え,②自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力を生涯にわたって高めていくことのできる力や,③情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力などが必要である。
◆ ④アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善,道徳教育の充実,小学校における外国語教育の早期化・教科化,ICTの活用,発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応などの⑤新たな課題に対応できる力量を高めることが必要である。
◆ ⑥「チーム学校」の考えの下,多様な専門性を持つ人材と効果的に連携・分担し,⑦組織的・協働的に諸課題の解決に取り組む力の醸成が必要である。
問1 下線部①「これまで教員として不易とされてきた資質能力」とは何か。3点以上挙例しなさい。
問2 下線部②「自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力を生涯にわたって高めていくことのできる力」が必要とされる理由は何か。本答申全体の記述内容に即して45字以内で答えなさい。
問3 下線部③について。特にこれからの教員には常に探究心を持つとともに,「情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力などが必要」である。その理由を本答申に即して90字以内で答えなさい。
問4 下線部④「アクティブ・ラーニングの視点」が重要視される理由についてあなたの考えを述べなさい。
問5 下線部⑤「新たな課題」について。
(1) 「新たな課題」に対応する「従来指摘されている課題」について3点以上挙例しなさい。
(2) 本答申に記述してある「新たな課題」以外の課題を2点挙例しなさい。
問6 下線部⑥「「チーム学校」の考えの下,多様な専門性を持つ人材と効果的に連携・分担し」について。「連携・分担」時に留意する点を挙げなさい。
問7 下線部⑦「組織的・協働的に諸課題の解決に取り組む力」について。こうした「力」を醸成するために,あなたは何を行いますか。具体的に述べなさい。
ミニ解説・塾長の述懐・資料
ミニ解説 塾長の述懐
「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~(答申)」(中央教育審議会,平成27年12月21日)からの出題です。
- 今後,教育公務員を目指す方には重要な位置付けにある答申です。答申の内容は然ることながら,自らが教育公務員としての資質能力を有するか,また有したとして課題は何か等,自らを〈相対化(≒メタ認知)〉する上で基軸となる答申ですから重要です。
- 問1~7は当道場が作成したものです。当道場の塾生・受講者と当答申を扱い〈学び〉を深める際の一例を問1~7にしてご紹介しました。教員採用候補者選考(以下「教採」と表記)の予想問題などという浅薄な発想ではなく,当答申を読み込む目的で作成したものです。
次に,各問に係る「ミニ解説」を掲載します。これをお読みになりながら,〈新しい時代〉の〈新しい教育〉を担う教員としての資質能力を検証軸に据えることにより,あなた自身の資質能力の現状を〈相対化(≒メタ認知)〉していただきたいと願います。
問1 (学校)教育の範疇に限ることなく,「不易流行」を如何に捉えるか。また,本問にある形で「不易流行」について考究することが何につながるのか。これらの解は,本答申の全体を通じて語られる教員としての資質能力に比するあなた自身の教員としての資質能力を物語ります。
問2 教採で訊かれそうだからと「自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力」を丸暗記して終わる虚しい学習は止めましょう。抑々,「自律的に学ぶ姿勢を持ち,時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力」とは具体的にどのような「資質能力」を指して言うのでしょうか? また,そうした「資質能力」を「生涯にわたって高めていくことのできる力」をあなた自身どのように育成していきますか。
問3 「情報を適切に収集し,選択し,活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力」とはどのような「力」のことですか。この問いについて考察するには,諸説あるところですが,認知プロセスについて学ぶことも一つの方途でしょう。ほんの一端を紹介したに過ぎませんが,「プロローグ」を参考にしてください。それにしても,例えば,総合的な学習(探究)の時間等で児童生徒に希求する「(学)力」が当該の「力」であることにお気づきでしょうか。当道場でよく指摘する「問題解決能力を有していない/十分に有していない教員が問題解決学習を組織・展開できるわけがない。」の左證です。
問4 当道場では,このような問いを教採の場において相応しい問いとは考えていません。なぜならば,このような問いが「アクティブ・ラーニング」に教育方法における絶対的な権威性を付着させる言説の構築を助長する結果を招くからです。その背景に学校教育界においてブームとなる術語が独り歩きする習癖があることを指摘できます。なぜ「独り歩き」するのか。それに答えることは更なるペシミズムを表象する言説を構築してしまうことになるので,ここでは取り上げません。「アクティブ・ラーニング」とは何を指して述べるのか。それが声高に叫ばれる時代的・教育史的背景のコンテクストを読み取り,それに付随する学力観の変遷とともに,自らが実践する授業との連関の中で,具体的な授業構想を巡らせる方が学習者のためになると思うのです。
問5 知識を問うことだけがねらいの問いではありません。本問で問われている「課題」がこれからの新しい時代を担う教員に上述の資質能力を求めているのです。換言すれば,時代的・文化的背景が生起する「課題」の実状・内実を理解することで,必然的にこれからの教員に求められる資質能力が導き出されるに至った道程を俯瞰できるのです。そうなれば,日本教育史上におけるあなた自身の立ち位置を明確化することが可能となるでしょう。問1~4及び6~7の解答にも有意味性を見出すことができるのです。知識の習得だけに終始していてはいけないわけです。
問6・問7 「「チーム学校」の考え」とはどのような「考え」か。「多様な専門性を持つ人材」とは具体的にどのような「人材」か。また,そうした「人材」が必要とされる理由は何か。「組織的・協働的に諸課題の解決に取り組む」状態とはどのような状態か。さらに,そうした状態を可能とする「力」とはどのような「力」か。その「力」をどのようにすれば「醸成」できるのか。そして,「醸成」のためにあなた自身の教員としての資質能力を〈相対化〉する営み…など,総合的に考え・行為することによって,問6,7の解は見えてくることでしょう。
3 場面指導等
出 題
問 あなたが担任をしている児童生徒Aがあなたのところに来ました。
「先生,○○入試を受験(検)するため,志望理由書を書きたいのですが,どのように書けば良いのですか? 教えてください。」
その後,あなたはどのように対応しますか?
註:本問は令和2(2020)年1月4日に旧「オープンチャット教員採用試験対策講座」で扱ったものです。
塾長の述懐
令和2(2020)年1月4日に本問を採り上げた際,当時の記録を繙けば,「解説」と称し,まあいろいろと御託を並べておりました。
1年余が経過し,当道場も少しは成長したようです。ここでは御託を並べません。
「志望理由書は○○○○のように書くのだよ。」
「その学校にどうして行きたいの?」
…………
こうしたフレーズが脳裡に真っ先に浮かぶようでは修業不足。「キャリア教育」と「進路指導」について学習し直して来てください。
これだけを申し上げておきたいと思います。
因みに,当道場の塾生・受講者は任命権者に提出する「志望理由書」の類の作成を年を越す前から始めています。塾生・受講者はある作業(特訓)を経て下書き前の構想段階に移行するのですが,その作業に平均して1~2か月は掛かるようです。
皆さんももう取り掛かっておられますよね?
© 2021 「鍛地頭-tanjito-」