新規塾生募集中!!
受講者募集中!!

教採受験界のパラダイムシフト!!
教員研修を基盤とする
教採対策
筆記選考と人物評価選考との
アウフヘーベン

〈ホンモノの教員〉 を
育成します

「場面指導Weekly解説ルーム」へはこちらからどうぞ。

教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」vol.24 「礼儀」/「あいさつ」

夕暮れのまだ青味の残る空を背景に浮き上がる金色のトロントの街 一般ブログ教材
カナダのトロントの夜景(提供 photoAC)
この記事は約15分で読めます。

 0 テーマ

礼儀の意義を理解し実践せよ!
ただし,パターナリズムに陥るな!

 1 合格体験記

合格,誠におめでとうございます!!
先日,お寄せいただいた塾生K様からの合格体験記です。(今夏選考分)

第3期塾生 合格体験記

合格,誠におめでとうございます。ホントウによく精進されたと思います。「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」の発想でいつも課題に正対されておられました。豊富な課題に対しても一つひとつ全力で臨まれ,とことん調べ,とことん考え,端的に整理して表現されていたことが当方の脳裏に焼き付いております。直接お話もしましたが,当方が出会ったことのない高い修正能力をお持ちで,そうしたことも印象的でした。しかも,バイタリティーに溢れておられました。常に児童生徒を中心に据えて考えておられるK先生に出逢える児童生徒は幸せだと思います。先生の包容力は抜群です。どうぞお身体には気を付けられて,ご活躍なさってください。

また,今後も当道場に〈学びの場〉を求めてくださり,嬉しくてなりません。この熱き〈学縁〉を賜りましたことに衷心より感謝申し上げます。共に乳幼児・児童・生徒のためになることをホンキで研究し続けて参りましょう。

これからもどうぞ末永くよろしくお願い申し上げます。

塾長 小桝雅典 

 2 プロローグ

当道場の「面接試験対策講座」の演習で,「礼儀(作法)」,「あいさつ」及び「規範意識」等についてお話になる塾生・受講者の割合が高い傾向にある。「あいさつ」ネタは面接選考のてっぱんネタでもある。また,先日,「礼儀」や「あいさつ」を軽んずる言述があることを耳にしたことから,それらの重要性を改めて強調するため,今回の本講座でテーマとして採り上げることにする。

塾長,こんな話を聞きました。昨今,「学校の授業の始まりと終わりの「起立,礼」は必要ない。」といった考えを持つ人たちがいるのだそうです。入社して始業・終業時に「起立,礼」はしない。わざわざ「起立,礼」をしなくても,プライベートから職務への切り替えに差し障りはない。ない方が却って合理的に仕事を始められる。教員だって職員会議の始まりと終わりに「起立,礼」などしないのだろう?[1]筆者が管理職として赴任した学校では「起立,礼」を行っていた。授業も同様で良いのではないかと。

青空の高い,よく晴れた日だった。(筆者は)ベランダに干した毛布を取り入れていた。[2]家事をしながら「鍛地頭-tanjito-」を運営している💦「こんにちは!」どこからともなく声がする。「誰にあいさつをしているのだ? こどもの声だが…。」「こんにちは!!」「声が大きくなったぞ…。」「こんにちは!!!」「私にか…?」よく見ると,我が家の裏庭にある生垣越しの歩道に,生垣と同じくらいの背丈だろう,小学校3年生くらいの見知らぬ男児が居て,こちらを見上げている。「ヨオ! こんにちは!!!」思わず見知らぬ男児に「ヨオ!」と切り出し,大きな声であいさつを返していた。男児はにっこりと相好を崩し,ちょうどよい塩梅で一礼後,横断歩道を渡って行った。帰宅中の男児だったのだろう。近隣にある小中学校の多くの児童生徒たちは,見知らぬ住民にもとても気持ちの良いあいさつをしてくれるのだ。

生徒指導にかかわる学校指導で,ある地域の小中学校の先生方が集う月例会に出席させていただいた。熱心な議論が繰り広げられる。この地域は数校の小学校から1校の中学校へ進学するため,小中連携を活発に行っていた。この月例会のテーマは小中で統一している授業の始業と終業時の「起立,礼」の在り方に関する成果と課題を明確にし,抽出した課題の改善策を検討することだった。どの小学校でも中学校でも同様の「起立,礼」の指導を徹底していると,9年間にわたって指導を受ける児童生徒は学校教育の中でも礼儀の大切さを自覚し,率先してあいさつができるようになるのだそうだ。

フッサールが述べるように,〈客観〉は存在しないと思う。私たちが「客観」と思い込んでいるものは,間主観性で成立する「きゃっかん」である。「主観」同士の間に成立する「確信」の構造なのだ。そこには拘束性が宿る。例えば,千人いるとしてその千人の間に,「「起立,礼」など軍隊ではないのだから,それらは学校教育に必要ない。」と共通する「確信」の構造が出来上がれば,それが「客観」となるのだろう。

しかし,現に教員及びそれを目指す人たちは教育公務員として存在しなければならない・存在しなければならなくなる。法治国家である以上,法的拘束力を有する学習指導要領を蔑ろにはできないのだ。学習指導要領及び解説に「礼儀」や「挨拶」が如何様に記述してあるか,熟読しておく必要があることは言を俟たない。

辞書的な意味
  • 「礼」:社会生活を送る上で定まった行動規範。敬意を表す。(a) 真心をもってあつかう。(b)
  • 「儀」:手本。作法。正しい。(a) 法にかなった正しい行為・ふるまい。(b)
  • 「挨」:押し合う。せまる。すり寄る。近寄る。(a)
  • 「拶」:せまる。すり寄る。近寄る。(a)
  • 「作法」:「作法(さくほう)と読んだ場合は、詩歌・文章の作り方、つまり、ものの仕方や所作の方法をいう。作法(さほう)は日常生活における「立ち居ふるまい」の法式、行儀作法をさすが、現在ではともに作法(さほう)とよんで、両者を兼ねた意味に用いる例も多い。われわれの社会生活は、ある程度共通した思想・感情・意志などをもって営まれるが、意志を他人に向かって表現するとき、「ことば遣い」となり「作法」となって現れる。このことば、動作、立ち居ふるまいの基準となるものが「作法」である。社会生活のうえに欠くことのできない生活規範であり、社交のうえで円滑となる態度を示すものである。なお、仏教でいう作法とは、葬礼・授戒・仏事などの儀式をいう。[石川朝子]」(c)

    [参考・引用]
    (a) :辞典オンライン 漢字辞典ONLINE,「」「」「」「
    (b) :『角川 新字源 改訂版』(小川環樹・西田太一郎・赤塚 忠,角川書店,2004.1),「礼」;p.717,「儀」;p.81
    (c) :
    コトバンク:作法(読み)サクホウ さくほう ‥ハフさくほう〔ハフ〕さほう;日本大百科全書(ニッポニカ)の解説,出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ),下線部は筆者による。
2020年「鍛地頭-tanjito-」が開講する「場面指導Weekly解説ルーム」のコマーシャル用フライヤー(教材紹介編)
「場面指導Weekly解説ルーム’20」受講者募集中!!

 3 教採アラカルト(礼儀)

出 題

問 次の文章Ⅰ~Ⅳをよく読んで,それぞれ後の問いに答えなさい。

[出典]
Ⅰ:『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳編』(文部科学省,第3章 道徳科の内容,第2節 内容項目の指導の観点,B 主として人との関わりに関すること,9 礼儀,(1) 内容項目の概要,平成29年7月,p.44)

Ⅱ:『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳編』(文部科学省,第3章 道徳科の内容,第2節 内容項目の指導の観点,B 主として人との関わりに関すること,7 礼儀,(1) 内容項目の概要,平成29年7月,p.38)

Ⅲ:『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別活動編』(文部科学省,第3章 各活動・学校行事の目標及び内容,第1節 学級活動,2 学級活動の内容,(2) 学級活動「(2) 日常の生活や学習への適応と自己の成長及び健康安全 ,イ よりよい人間関係の形成,平成29年7月,p.54)

Ⅳ:『生徒指導提要』(文部科学省,第3章 児童生徒の心理と児童生徒理解,第4節 児童生徒理解の資料とその収集,3 資料収集の方法,(1) 観察法,平成22年3月,デジタル版:p.72,冊子版:p.67)


礼儀は,相手の( A[3]人格 )を尊重し,相手に対して敬愛する気持ちを具体的に示すことであり,心と( B[4] )が一体となって表れてこそ,そのよさが認められる。つまり, 礼儀とは,心が礼の( B[5] )になって表れることであり,礼儀正しい行為をすることによって,( C[6]自分 )も相手も気持ちよく過ごせるようになる。 また,礼儀は,具体的には挨拶や言葉遣い,所作や動作など( D[7]作法 )として表現されるが,それは,人間関係を豊かにして社会生活を円滑に営めるようにするために創り出された( E[8]文化 )の一つであるということができる。よい人間関係を築くためには,まず,相手に対して( F[9]真心 )がこもった気持ちのよい応対ができなければならない。そのような応対は人としての( G[10]生き方 )の基本であり,まずは大人が( D[11]作法 )として教えることから始まる。それらを,さらに,例えば( F[12]真心 )がこもった態度や時と場をわきまえた態度など( H[13]礼節 )をわきまえた行為へと深めていくことが必要である。( F[14]真心  )とは相手のことを親身に思いやる心であり,( B[15] )となって表されることにより,( I[16]誠意 )のある行為につながる。人との( J[17]関わり )において,どのような振る舞いが好ましいのかを考えさせることは大切なことである。

問1 空欄A~Jを適語で補いなさい。
問2 下線部「相手のことを親身に思いやる心」とはどのような「心」を指すと考えるか。800字以内で論述しなさい。


「礼儀」は,( A[18]他者 )に対するものであり,身に付けておくべき外に表す( B[19] )であると考えられる。具体的には言葉遣い,態度や動作として表現される。社会生活の秩序を保つために守るべき( C[20]行動様式 )であり,長い間に培われた慣習を表すものである。これは,人間関係や社会生活を円滑にするために創り出された優れた( D[21]文化 )である。また,礼儀は,( E[22]立ち居振る舞い )が美しいかどうかという美的な問題として考えられてきた面もある。生徒は,物心がつく頃から,家族や地域の大人から挨拶を始め礼儀を教えられる。教えられ学ばれなければ,礼儀は存続していかないものである。さらに,礼儀は,慣習に支えられているため,( D[23]文化 )が違えば同じではなく,合理的に説明することができないことも多いが,長い歴史を通じて培われ伝えられ,大切にされてきたものである。 礼儀の基本は,相手の( F[24]人格 )を認め,相手に対して尊敬や( G[25]感謝 )などの気持ちを具体的に示すことであり,心と( B[26]  )が一体となって初めてその価値が認められると考えられる。敬愛の気持ちを伝えるために,相互に認められる( B[27] )が必要である。時と場に応じた適切な言動をとることで,自分と他者の間に認められてきたその社会固有のほどよい( H[28]距離 )を保つことができるのである。礼儀にかなった言動が,互いを結び合わせるのであり,このことが礼儀が人間の( I[29]生き方 )の基本にあると言われるゆえんである。( B[30] )だけで心が伴っていないと批判され,( B[31] )ができていたとしても人間尊重の精神がなければ礼は通じないとされる。この場合の礼という語は, 他者を敬う態度や振る舞いであり,( J[32]社会規範 )をも意味し,内面にある他者を愛する心が現れた( K[33]礼節 )をわきまえた行為と考えられている。

問 空欄A~Kを適語で補いなさい。


持ち物の整理整頓や衣服の着脱,挨拶,言葉遣いなどの基本的な( A[34]生活習慣 )に関わる課題は,幼稚園,認定こども園,保育所等との( B[35]接続 )に配慮し,児童の( C[36]実態 )に応じて適切に指導することが大切である。これらの指導は,ともすると,教師の一方的な( D[37]説話 )になりやすい。そこで,児童の( C[38]実態 )や発達の段階に即して,具体的な( E[39]資料 )を活用して児童の理解を深めるなどの工夫をし,日常生活の( F[40]実践 )に結び付く効果的な指導を行うよう配慮することが大切である。

問1 空欄A~Fを適語で補いなさい。
問2 挨拶をはじめとして,社会の形成者として身に付けるべきルールやマナーを指導する際に重要なことを2点述べなさい。


教員が児童生徒を観察する立場として、児童生徒と直接コミュニケーションを取りながら、関与しながらの観察を行う場合もあれば、( A[41]第三者 )的立場に立ち、児童生徒が( B[42]集団 )の中で周りとどのようにかかわっているのかを観察し資料を収集する場合もあります。 いずれの場合も、( C[43]言語 )的側面ばかりでなく、表情や姿勢、歩き方などは普段と比べてどうかといった( D[44]非言語 )的側面、すすんで挨拶ができるか、教員から話しかけたときにどのように応じるか、( E[45]友人 )とどのようにかかわっているか、話をしているときに視線を交えることができるかなどの( F[46]社会 )的側面、挨拶や会話をしたときに( G[47]気持ち )が通じ合うかなどの( H[48]情緒 )的側面についての資料を収集します。

問 空欄A~Hを適語で補いなさい。

ミニ解説・塾長の述懐

「礼儀」,「挨拶」及び「作法」等が学習指導要領(解説)や『生徒指導提要』でどのように扱われているのかをじっくりと読んでいただくための設問です。児童生徒を指導する教育公務員として,それらをどのように理解し,教育活動又は自らの日常的な行為として実践していくべきかを考えてください。

Ⅰ-問2に措定される考え方は,かつて某国立大学教育学部の入試問題で問われた考え方に通底しています。しかも,教育公務員となる(・である)者の根幹となる意識を問う大切な問題です。この問題の解答次第で教壇に立てる人材か否かが(一発で)明確になる問題だと言って過言ではありません。「まずは,乳幼児・児童・生徒ありき」を本心から体現できる人物か否かが判然とするので,出題の題材は異なりますが,当道場では必須の小論文課題となっています。

「鍛地頭-tanjito-」の新設講座「教採アラカルト基本講座」の宣伝用画像
新設‼ 教採アラカルト基本講座

 4 場面指導等

出 題

問 あなたからあいさつを行いますが,返してくれない児童生徒にあなたはどのような指導を行いますか?

ミニ解説・塾長の述懐・資料

筆者が中学生の頃,部活動の先輩だった方が,数か月,あいさつを返してくれなかったことを想起します。しかし,毎日,あいさつをし続けた結果,数か月後,到頭「お前には負けたよ。」と笑いながらあいさつを返してくれるようになりました。それからは筆者のためにとても親身にいろいろと世話を焼いてくれたのです。大人になってからも共に呑んでいましたが,あの時,なぜあいさつを返してくれなかったのか,その理由は訊いていません。もう訊く必要はないからです。

本問の場合,例えば,次のような解答が想定されているのではないでしょうか? 挙例します。

想定される解答例
  • 「特別の教科 道徳」で指導する。
  • 「保健体育科」で指導する。
  • 「特別活動」で指導する。
  • 日常の登校指導・あいさつ運動等を含む「生徒指導」で指導する。
  • 小・中・高連携等で指導する。
  • 家庭と連携する。
  • 地域と連携する。
  • 折に触れ,あいさつの意義やその効用について児童生徒に説く。
  • 諦めず,粘り強く指導を継続する。

「想定される解答例」は教育活動として,将又,教採の設問に対する解答例として意義のあるものでしょう。

しかし,肝心なものが数点欠けています。それでいながら,

「教採でこれくらい答えておけば,まあ合格点だろう。」

とだけ考えている(教えられている)から,学校現場で学級崩壊を起こすなど,児童生徒や保護者に迷惑を掛け,自身も苦しむ結果となるケースが生起するのです。

教採対策は〈学び〉でなければならない。
教採対策は〈教育〉でなければならない。
学校での〈実践の(一部の)礎〉を築かなければならない。

教採対策は戦略ゲームではないのです。

欠けている数点が何であるかお分かりになりますか? これらがないと「想定される解答例」も生きて働く知識にはならないのです。

確かに,学校での重厚な教育実践がないとこれらの数点には気づき難いものがあることも事実だと思います。

だからこそ,実践者から話だけでも聴けばよいのです。重厚な実践の経験者から話を聴き,理解するのとしないのとでは学校での教育実践(教採の面接選考等)において雲泥の差が生じます。

まずは(乳幼児・)児童・生徒のため。そして,あなたのためです。

資料

9 礼儀

〔第1学年及び第2学年〕 気持ちのよい挨拶,言葉遣い,動作などに心掛けて,明るく接すること。
〔第3学年及び第4学年〕 礼儀の大切さを知り,誰に対しても真心をもって接すること。
〔第5学年及び第6学年〕 時と場をわきまえて,礼儀正しく真心をもって接すること。

(中学校) [礼儀] 礼儀の意義を理解し,時と場に応じた適切な言動をとること。

『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 特別の教科 道徳編』(文部科学省,第3章 道徳科の内容,第2節 内容項目の指導の観点,B 主として人との関わりに関すること,平成29年7月,p.44)

 相手を尊重し,伝統的な行動の仕方を守ろうとするとは,武道は,相手と直接的に攻防し互いに高め合う特徴があるため,「礼に始まり礼に終わる」といわれるように,相手を尊重し合うための独自の作法,所作を守ることに取り組もうとすることを示している。そのため,伝統的な行動の仕方を守ることで,自分で自分を律する克己の心に触れることにつながることを理解し,取り組めるようにする。
 なお,伝統的な行動の仕方の指導については,単に形の指導に終わるのではなく,相手を尊重する気持ちを込めて行うことが大切であることに留意する。

『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 保健体育編』(文部科学省,第2章 保健体育科の目標及び内容,第2節 各分野の目標及び内容 〔体育分野〕,F 武道 ,[第1学年及び第2学年],(3) 学びに向かう力,人間性等,平成29年7月,p.152)

 5 当塾関連ブログ

出題に対するご質問,ご意見,正解及び解説等に係る照会については受け付けておりません。予めご諒解ください。

© 2020 「鍛地頭-tanjito-」


References[+]

タイトルとURLをコピーしました