テーマ
AIと〈共創造(co-creation)〉のできる人材を育成せよ!!
プロローグ
学校教育の情報化が学校現場でも教員採用候補者選考(以下,「教採」と表記)でも強く意識されるべき時代が到来しています。「人生100年時代」を迎え,AI(人工知能)などの技術革新による「超スマート社会(Society5.0)」は間近に迫っているのですから。
したがって,そうした時代の趨勢に敏感であることが現代を生きる我々に求められているわけですし,既に意識化の問題ではなく,情報通信技術を活用する能力や情報モラルを含めた情報活用能力などを育成すべきマージナルな時節にあることに間違いないのです。
そうした現況を背景に,第3期教育振興基本計画は激動の時代を生き抜き,未来を開拓する多様な人材の育成を目指し,教育を通じて生涯にわたる一人ひとりの可能性とチャンスを最大化することを,今後の教育施策の中心に据えるわけです。
そうであるならば,この基本計画の履行は国家的で喫緊な課題であり,当然,教採において問われてもおかしくない教育時事と言えるのです。(実際のところ,今夏,これからの教採に出題される気配が濃厚に漂っていますね。)
とすると,今回のテーマに掲げた「AI人材の育成」の「AI人材」とは,学校教育においてはこれからの〈新しい時代〉を生き抜いていく児童生徒であり,その教育を担う教職員ということになります。
つまり,このように考えてくると,本BLOG教材の台座となる「場面指導」で「学校教育の情報化」が問われるならば,少なくともそれを必要とする時代背景から,国策及び教職員のICT活用能力等を含めた学校教育に求められるものを知識として理解・整理しておかなければならないことに気づくはずです。そうして,そうした対策(学習)を進めていけば,「情報活用能力」は学習指導要領に措定される「学力の三要素(三層構造)」に行き着くことが解り,「なるほど,教採で出題されても不思議はない。」と得心することになるのです。
換言すれば,「AI人材の育成」にかかわる「場面指導」は時代,教育方法論等を含む日本教育史のコンテクストが理解され,学習指導要領の基底となる学力論が確と身に付いていないと,日常的に聞き齧った情報社会に関する一般的な知識だけではほぼ十分な解答を作成し得ないという帰結に至るのです。
スクールコンプライアンス演習
出 題
問 次の文章は「教育振興基本計画」(文部科学省,閣議決定,平成30年6月15日)の「第2部 今後5年間の教育政策の目標と施策群」,「5.教育政策推進のための基盤を整備する」,「目標(17)ICT 利活用のための基盤の整備」の一節である。空欄A~Eに適語を補いなさい。
初等中等教育段階について,①( A )(必要な情報を収集・判断・表現・処理・創造し,受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力(ICTの基本的な操作スキルを含む)や,情報の科学的理解,情報社会に( B )する態度)の育成,②主体的・対話的で深い学びの視点からの( C )に向けた各教科等の指導におけるICT活用の促進,③校務のICT化による教職員の( D )軽減及び教育の質の向上,④それらを実現するための基盤となる学校のICT環境整備の促進に取り組む。また,私立学校についても,国公立学校の状況を勘案しつつ,ICT環境整備を推進する。
ミニ解説・塾長の述懐・資料
出典の「教員振興基本計画」(文部科学省,閣議決定,平成30年6月15日)における「教育の情報化」に関する記述については要注意。なぜ「要注意」なのか? その理由を時代の背景,学習指導要領の記述内容等を視点に考えてみてください。特に,出題文中の①~④はその柱となるところです。
場面指導等
出 題
学級懇談会の席上,ある保護者が担任であるあなたに次の質問を行いました。
「情報社会はますます発展しています。学校はそれに対応する学習をしているのですか? オンラインゲームやチャットに熱中している児童生徒が多いと聞きましたが,それで勉強の方は大丈夫なのですか?」
あなたはどのように答えますか?
ミニ解説・塾長の述懐・資料
「プロローグ」でも言及したように,まずAI人材の育成に係る国策及び学校教育の情報化に関する知識を蓄えておかなければなりません。その上で,本問に対する解答を考えることになります。特に,学校教育の情報化に関する整理ポイント(例)は次のとおりです。
- 学校教育の情報化の推進に関する法律
- 学習指導要領における教育の情報化の位置付け
- 情報活用能力の育成
- 学校における情報モラル教育
- プログラミング教育
- 各教科等の指導におけるICT活用
- 総合型校務支援システム
- 教員のICT活用指導力
文部科学省がインターネット上に流している情報を敏感に,効率よくキャッチし,国策及び少なくとも上述の8点を整理しておきましょう。情報の検索から獲得した情報の整理・理解の上に成り立つ本問に対する解答作成も教員となるための資質・能力磨きの一環です。
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