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教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」vol.28 「職務命令」/「いじめの4層構造」

夕暮れのまだ青味の残る空を背景に浮き上がる金色のトロントの街 一般ブログ教材
カナダのトロントの夜景(提供 photoAC)
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 1 プロローグ

諸富祥彦氏の『SB新書 521 いい教師の条件 いい先生,ダメな先生はここが違う』(SBクリエイティブ株式会社,2020.11.1 電子書籍)を読んだ。

同氏は明治大学文学部教授で,心理学者。教育学博士である。千葉県内の中学校や高等学校で,20余年,スクールカウンセラーを歴任されており,教員のメンタルサポートに尽力されている。

同書には神戸市東須磨小学校で生起した教員間のいじめ・セクハラを含む暴行事件についても綴ってある。また,それを包含する形で,教師に求められている「資質・能力」(コンピテンシー)について言及してある。

筆者1)「鍛地頭-tanjito-」の塾長のこと。 は「教師に求められている「資質・能力」(コンピテンシー)」について強い関心がある。そのことについては,「無料体験講座 《ありのままの自分探しの旅》」を受講してくださった方はご承知のはずだ。中教審答申等を用い,筆者の学校教育における実践を踏まえながら,「教師に求められている「資質・能力」(コンピテンシー)」の変遷を追い,当道場がそれらを纏めた資料を進呈した。

ここでは,同書の書籍紹介/批判を行うことが目的ではない。だが,一言言及すると,長い間,学校教育にどっぷりと浸ってきた人間からすれば,同書には「それは違う。」といった言及が目に付く。全くの揣摩臆測だが,それはスクールカウンセラーからの視点であることに起因するように思われる。スクールカウンセラーがいけないと言っているのではない。視点の偏りである。しかし,巷間では,「それは違う。」は一教職員の視点に過ぎないと言われるのだろう。視点の偏りである,と。しかし,かつての仕事柄,スクールカウンセラーの視点を理解している分,そう言われても,「それは違う」。理由を述べずに,話題を移行することは同氏に甚だ失礼だが,ここにはそれほどの紙幅を割けないので,読者にもご海容いただきたい。

註:「無料体験講座教材 《ありのままの自分探しの旅》」にはパスワードが掛けてあります。

 追い詰められメンタルヘルスを崩されていく先生方のお話をうかがっているうちに,私は「教師は本当に大変な仕事だ」という思いを強めていきました。同時に,今の教師に何が求められているのか,この時代に教師として生きていくためには,どんな力が必要なのかが見えてきました。それは,今の教師に求められている「資質・能力」(コンピテンシー)と言い換えてもいいかもしれません。
 教師に最もベーシックな資質・能力,それはひとことで言えば「人間関係力」です。
 人間関係力こそ,この困難な時代に教師という仕事を続けていくための最も重要な能力なのです。

前掲書:第2章 学校空間の悩ましい「人間関係」――神戸市東須磨小の教員間 いじめ・暴行事件をもとに考える,「人間関係力」こそ,教師に最も必要な資質・能力,[キンドル版],検索元 amazon.com

「教員はホントウに大変な仕事だ。」と思う。日々の業務を見てもそうであるし,メンタルヘルスを崩すだけではなく,別の帰結(結末)もあり,「ホントウに大変だ。」と思う。だが,こうした言説を隠れ蓑にして,一部の教員たちにエゴイズム(=眼前の乳幼児・児童・生徒たちを二の次にして,自分だけ楽(ラク)して(稼いで)おけば良い。)が瀰漫している事実があることを見逃してはならない。

さらに,看過してならないことは「人間関係力」は表象の世界で求められる「資質・能力」であるということだ。「人間関係力」が「資質・能力」に不可欠であることは言を俟たないが,見方を変えれば,「人間関係力」といった「資質・能力」を何が支えているのか,意識/無意識,意志の世界にまで視野を広げ,この点を明らかにし,それらを鍛えなければ,「人間関係力」は育成されないのである。

「人間関係力」の必要性・重要性は教職を経験した人間ならば,少なからず理解しているはずである。だが,どうすればその力を身に付けることができるのか,この点について悩んでいる教員は「悩んでいる」と思われるのである。

また,悩んでいる・人間関係をうまく構築できないと思っている教員は結構いると思われる。だから,教員採用候補者選考(以下,「教採」と表記)で任命権者は種々の項目を設定し,それぞれの角度から「人間関係力」の有無・多寡を中教審答申や各地方公共団体の求める教師像等に照らし合わせて見抜こうとしているのではないだろうか。時代は「協働(性)」を声高に述べる時代である。

 相手を選ばず,どの子とも,どの保護者とも,どの同僚とも,すぐにパッとリレーション2)同氏は同書の中で「「心と心のふれあい」「気持ちと気持ちのつながり」のある人間関係のことを「リレーション」と言います」と述べている。(第2章 学校空間の悩ましい「人間関係」――神戸市東須磨小の教員間 いじめ・暴行事件をもとに考える,「人間関係力」こそ,教師に最も必要な資質・能力,[キンドル版],検索元 amazon.com) をつくることができる――これが「対人援助職」のひとつである教師の最もベーシックな資質・能力(コンピテンシー)のひとつです。

前掲書:第5章 「できる教師」に必要な6つの資質,「できる教師の資質」を6つ厳選,1 リレーションづくりの能力,[キンドル版],検索元 amazon.com,脚注は筆者が施した。

上記引用の直後に「2 人間関係のプロ」という見出しが太字で並ぶ。その連結関係から,「人間関係のプロ」とは,上記引用にある「最もベーシックな資質・能力(コンピテンシー)」を有する教員を指していることが解る。この見出しに後置する形で,そのことを念押しするように次の記述が連なる。

 子ども,保護者,同僚,管理職など,教師は相手を選べません。また,ほかの教師と協力しながら,チーム支援をする必要もあります。
 教師の仕事は,常になんらかの「人との関係(人間関係)の中で」行われる仕事です。
 さまざまなタイプの子ども,保護者や同僚と①相手を選ばず,②短時間で,可能な限りスッと関係をつくることのできる力が必要です。

前掲書:第5章 「できる教師」に必要な6つの資質,「できる教師の資質」を6つ厳選,2 人間関係のプロ,[キンドル版],検索元 amazon.com

全くもって同感である。「教師としてのプロ」の条件の一つは「人間関係のプロ」であることだ。善きにつけ悪しきにつけ自らの教職生活での経験を振り返り,数多くの教員を見て来て間違いなくそう思う。なぜそう思うか。その点については,紙幅の関係上,別の機会に譲ることにする。

また,私見ではあるが,「人間関係力」と「言語能力」とは密接な連関にあるとの思いを強めてきたことも事実だ。「資料5 言語能力について(整理メモ)」(中央教育審議会初等中等教育分科会,教育課程部会 言語能力の向上に関する特別チーム(第3回)配付資料,登録 平成28年10月)には,次のようにある。

コミュニケーション能力については様々な定義があるが、文部科学省の有識者会議においては、「いろいろな価値観や背景をもつ人々による集団において、相互関係を深め、共感しながら、人間関係やチームワークを形成し、正解のない課題や経験したことのない問題について、対話をして情報を共有し、自ら深く考え、相互に考えを伝え、深め合いつつ、合意形成・課題解決する能力」と定義されている。
・この定義を言語の果たす役割に照らして整理すれば、コミュニケーション能力については、3 他者とのコミュニケーションの側面を軸としつつ、他の側面(1 創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面、2 感性・情緒の側面)にも支えられた能力として育成される必要があることが分かる。
・コミュニケーション能力は、話す・聞く・書く・読むといった言語活動のほか、非言語による伝達手段(イメージ、音、身体)も含めた広範な活動に関わるものである。このため、「コミュニケーション能力」の向上には、言語能力のほか、非言語能力の向上も必要である

註:下線は筆者が施した。以下,同様である。…A

「コミュニケーション能力」が定義された上で,それは「3 他者とのコミュニケーションの側面を軸としつつ、他の側面(1 創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面、2 感性・情緒の側面)にも支えられた能力」であるとも説明されている。

言語3)本引用の脚注には次のようにある。「言語には、具体的な発声や文字による言語活動である一般的な言語(外言語)の機能のほか、音声や文字を伴わない、思考や概念、それらの体系の獲得・操作を行う内なる言語(内言語)の機能があり、三つの側面のいずれにおいても、これらの機能が働いていることに留意する必要がある。」 の果たす役割は、これまでの各種会議等の議論の成果を踏まえ、以下の三つの側面から捉えることができる。
1 創造的思考(とそれを支える論理的思考)の側面
2 感性・情緒の側面
3 他者とのコミュニケーションの側面
→言語に関する資質・能力には、この三つの側面があり、これらの側面から「言語能力」を整理してはどうか。

前掲資料A:1.言語能力について

つまり,かなり粗い言い方だが,対人関係を形成する「人間関係力」に不可欠だと言われる「コミュニケーション能力」は「言語能力(言語の果たす役割)」に支えられているのだ。そう考えるならば,「人間関係力」を身に付けるためには,非言語能力を含めた「言語能力」を身に付けることが必要になる。

・子供は、乳幼児期から身近な人との関わりや生活の中で言語を獲得していき、発達段階に応じた適切な環境の中で、言語を通じて新たな情報を得たり、思考・判断・表現をしたり、他者と関わったりする力を獲得していく。このように、言語は、子供たちの学習や生涯にわたる生活の中で、極めて重要な役割を果たしている。
・言語能力は、国語科や外国語科のみならず、全ての教科等における学習の基盤となるものである。(後略)

前掲資料A:2.資質・能力の育成と言語能力との関係について,「後略」は筆者による。

したがって,「知識・技能(新たな知識の獲得)」,「思考力・判断力・表現力等」は言語を通じてなされ,「言語を通じて他者とコミュニケーションをとり、相互の関係を築いていくことにより、思いやりや協調性などを育むことができる」4)前掲資料A:2.資質・能力の育成と言語能力との関係について,3 学びに向かう力,人間性等 と考えられるのである。また,「子供自身が、自分の心理を意識し統制していく力や、自らの思考のプロセスを客観的に捉える力(いわゆる「メタ認知」)の獲得」5)註4参照 も「心理や思考のプロセスの言語化を通じて行われる」6)註4参照 と言えるのである。

このように考えてくれば,引用文中にある「子供」は「大人」にも置換が可能であり,「人間関係力」の形成は「言語能力」の育成に多大に影響していると考えることができる。

今回のブログでは「言語能力」と表現しているが,従来当道場は他のブログに明らかなように「言語能力」と「言語運用(能力)」とを区別して使用している。その理由は,次の引用にほぼ示されている。

「… 現在,人間の言語システムを捉えるための有効なアプローチとみなされているのが〈生成文法〉の最も新しい理論〈極小主義モデル〉と呼ばれるものである。このモデルが仮定する言語システムは,大まかに言って,〈言語知識〉と〈言語運用〉という二つのモデュール(=構成単位)からなる。日常的な言語行為である,話す,聴く,読む,書く,聴いた言葉を繰り返す,などはまさしく言語運用といえるが,それらの活動のすべてに司令を出しているのが母語についての言語知識(または言語能力)と考えられている。…」(コトバンク:言語運用(読み)げんごうんよう,世界大百科事典内の言語運用の言及,【失語症】より ※「言語運用」について言及している用語解説の一部を掲載,平凡社

ただ,一口に「言語能力」の育成」と述べても,どのようにすれば良いのか? そのためには,聴く(聞く)・話す・読む・書くそれぞれの能力の育成がバランスよく統合される言語環境が必要であろう。当道場はそのように考えている。

教採の受験主体において1年程度の言語訓練で「言語能力」が意のままに高まるかと言えば,確かに心許ない。だが,それで終わってしまえば,それまでだ。したがって,当道場の「合格道場」(レベル:上級)内に,今期生から「言語(運用)能力」の領野(必修コース)を設けた。

「人間関係力」の形成には「言語能力」だけ・・が必要とは言えないだろう。その他,必要とされる要素は多々あると考えられる。しかし,現当道場にあって,今,できることを模索した際,長年気に懸かってならなかった教員の「言語能力」を鍛えることしか思い浮かばなかった……〈生得的言語能力〉を信じて……それが事実なのである。

 2 教採アラカルト(教育法規)

出 題

職務命令に関する次の各問に答えなさい。

問1 職務命令が正しく発令されるためには,次の要件が全て満たされていなければならない。ア,イの空欄に適語を補いなさい。

1 権限のある上司から発せられた命令であること。
2 権限のある上司のつかさどる権限内の[ ア ]に関する命令であること。
3 [ イ ]

問2 「職務命令に重大かつ明白な瑕疵」が存在するか否かなど,当該職務命令そのものが法的に無効であるかどうか疑わしい場合,その職務命令を拒否することができる。是非は如何。

問3 権限のある上司の職務上の命令であっても口頭で発せられる職務命令は無効である。是非は如何。

本問は旧「Openchat教員採用試験対策講座」(現「オープンチャット教員採用試験対策講座」)において,令和2(2020)年1月21~23日に出題したものを復習の意味を込めて再掲しました。

ミニ解説・塾長の述懐

「職務命令」に関する出題です。いずれの小問も基本問題です。基本問題ということは,学校現場においても常識的な内容であるということです。

註:今回は次の解説も空欄補充型の設問形式になっています。

解説

問1

職務命令には,次の2種類があります。

▶ [ A ]上の監督のために発令する命令:職務の遂行に必要

▶ [ B ]上の監督のために発令する命令:守秘義務の履行など

また,「権限のある上司」とは,教職員の場合,[ C ]及び教頭を指します。

[ イ ]について,窃盗,暴行及び横領等違法行為を行うなど,法律上の不能又は事実上の不能を命ずる職務命令は[ D ]になるということです。

解説

問2

〔職務命令の目的〕
▶ 組織体の種々の[ E ]を統一的に働かせるため。
▶ 組織の[ F ]に則った適正な業務の遂行を可能にするため。

〔法的拘束力〕
権限を有する職務上の上司から職務命令を命じられた教職員はこれに忠実に従わなければならない。(地公法第[ G ]条)

したがって,要件を満たす職務命令を受けた教職員がそれに従わない場合には,[ H ]違反として処分の対象となる。(地公法第29条)

[資料 職務命令の拘束力]
”…公務員は,上司と見解を異にする場合,自己の所信(それがある程度客観性,合理性のあるものであっても)に基づいて職務命令を拒否することは許されず,ただ単に不服の点につき意見を申述べることができるだけである。”(東京高裁 昭和49年5月8日判決 小学校校長事件)

解説

次の点について調べておきなさい。

▶職務命令の対象
▶職務命令の形式

昔は,「職務命令は文書でないと発せられない。」とおっしゃる先生方が数多くおられました。

 3 場面指導等

出 題

 休憩時間,教室内で児童生徒Aが同じクラスの3人の児童生徒に囲まれていじめられています。周囲には数人の児童生徒が遠巻きにその様子を見ており,多くの児童生徒は見て見ぬ振りをしています。
 担任であるあなたは偶然その現場を目撃しました。

 あなたはどのように指導しますか?

本問は令和2(2020)年1月15日,旧「Openchat教員採用試験対策講座」(現「オープンチャット教員採用試験対策講座」)において出題したものに加筆修正を施し再掲したものです。

ミニ解説・塾長の述懐

本無料講座は当道場の入門期であることから「てっぱんネタ(の問題)」をよく扱っています。しかし,だからと言って,本道場が「教採アラカルト基本講座」で用意している解答は「てっぱんの解答例」ではありません。決してそうなりません。

それは奇を衒っているのではありません。

学校現場において常に・・ホンキで・・・生徒と一緒になって,喜んだり,怒ったり,哀しんだり,笑ったり,楽しんだりして,「まずは,(乳幼児・児童・)生徒ありき」の在り方で優しく・厳しく指導してきたから「てっぱんの解答例」にはならないのです。

ましてや,本問においても,次のような解答だけで終わることはありません。

一般の解答例
  • いじめをすぐに止めさせる。
  • いじめられている児童生徒のケアをする。
  • いじめている児童生徒に指導する。
  • 「いじめの4層構造」からクラス全体の問題として遠巻きにいじめの様子を見ていた児童生徒及び見て見ぬ振りをしていた児童生徒を指導する。
  • 保護者連携を行う。

ここに挙例した指導等は無論必要です。ただし,どのように「止めさせる」のか,「ケアをする」のか,「指導する」のか,「保護者連携を行う」のか…その辺りが肝心ですが。その受験主体(教員)の力量が明確に分かりますから。そのような点も面接官に見られているのでしょう。

しかし,挙例した指導だけでは決して十分な指導ではない,不十分です。同じ状況が再発しても致し方がない。つまり,これらのみを教採で解答しても不十分だということです。

いじめの行為を絶対に許すわけにはいかない。ホンキで・・・・そう思うのならば,他に大切な指導があることに気づかないとおかしいのです。それは学校現場の未経験者にも同様に言えることです。

出題に対するご質問,ご意見,正解及び解説等に係る照会については受け付けておりません。予めご諒解ください。

© 2020 「鍛地頭-tanjito-」


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