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教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」vol.15 「教科書使用義務」/「体育館裏の喫煙」

夕暮れのまだ青味の残る空を背景に浮き上がる金色のトロントの街 一般ブログ教材
カナダのトロントの夜景(提供 photoAC)
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組織的な生徒指導の〈組織性〉

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全30講座

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 1 プロローグ

今夏,当塾の講座体系を改編しました。講座のレベルを明確にしたのです。お蔭さまで有り難いことに最も難易度の高い「合格道場」(定員2名)が今夏の教員採用候補者選考(以下「教採」と表記)の合格発表を待つことなく満員となり,しかも1名のご予約(順番待ち)を頂いたのです。定員内の2名の方々の学習は9月の初日から始まっています。

何が有り難いかと言えば,みっちりと添削,面接指導及び(悩み事を含めた)相談等を行う理由から2名しか採らない「合格道場」を舞台に,2名の方々に貴重な〈学縁〉[1]造語。「学問との縁,学問を志す者同士の縁」の意。を頂いたことです。共に学ばせていただけることに厚く感謝しております。一方,だからこそ,順番を待っておられる方に申し訳なく思うのです。

「合格道場」の塾生は確かに「地頭」[2]「総合的な人間力」の意として当塾は定義している。を「鍛」えられています。だから,「鍛地頭-tanjito-」なのです。

その一例をご紹介します。

今夏,「合格道場」のメニューに新たに「言語(運用)能力」の領野を加えました。仕事柄,数多くの教(職)員を見てきたことと塾生・受講者と学習を進めてきたこととを併せ,当たり前のことではあるのですが,以前から思い続けていた「教員には高い言語(運用)能力が必要だ。」ということを改めて確信したことが,当該の領野を加えた理由です。

現在,2名の塾生は,当該の領野で次の課題に取り組んでいます。

「コスモス」と「教育」

これをテーマに制限字数200字以内で自らの考えを表現するのです。さあ,何度当塾の添削を受けることになるでしょう…。ビデオ通話による対面指導も待ち構えています。

「そんな(つまらない)ことをして,教採とどのような関係があるの!? バカじゃない~!!」

そう思われた方はおられませんか?

実は,この問い,学習指導要領に通じているのです。(おっと,行き着く先を塾生に漏らしてしまった💦) しかも,(奇妙な言い回しを承知で述べれば)哲学的な概念を学ぶことになります。この概念を学ぶことが重要なのです。

この概念を学べば,今次改訂の学習指導要領がさらに読めるようになります。恐らく,どこの参考書等にも書かれていないでしょう。でも,確実に読めるようになります。

まあ,塾生は「コスモス」から調べ上げることになりますが。と言いながら,既に調べていますけれど。学習指導要領の文面を丸暗記などするより,余程自然にその内容が,文言が脳裡に収まってくるはずです。だから,忘れ難い。

勿論,テーマはこれだけではありません。既に2名の塾生には次の問いが課してあります。

「デカルト二元論」と「宇宙論・コスモロジー」との相違について150字以内で説明しなさい。

これでもっと学習指導要領が読めるようになります。

「合格道場」の課題は,当然,これだけではありません。二元論的思考で言えば,学習指導,生徒指導,特別活動,特別支援教育,道徳教育,人権教育,キャリア教育,教育法規,学校経営,教師教育,教育哲学,教育時事,答申等資料,面接問題,小論文問題,総合型場面指導…などなど。

だから「鍛地頭-tanjito-」なのです。

 2 教科書・補助教材

出 題

問 教科書には使用の義務があります。一方で,学校では教材を精選すべきだと言われます。教科書の使用義務に係る法令上の扱いを述べるとともに,教員として教科書を使用する際,留意すべき点について説明してください。

ミニ解説・塾長の述懐・資料

まず,関連法令に当たる必要があります。毎度申し上げるように,必ず自らが条文を読むこと。これが教育法規に強くなる第一歩です。

【関連法令】

本出題に解答する際,少なくとも次の事項は事前に整理しておきたいものです。

【整理事項1】
  • 教科書とは何か?
  • 教科書の使用義務とは何か?
  • 何を目的として教科書の使用義務があるのか?
  • 「主たる教材」の有する意味とは何か?

さらに,もう一歩踏み込んで,次の事項を整理しておくべきでしょう。

【整理事項2】
  • 学習指導要領の基準性と教材の精選や重点化との連関
  • 地域,学校や児童生徒の実態及び教科書とその他の教材の適切な組み合わせ

発展的な学習として,当塾の講座では「伝習館高校事件判決(最高裁判決,平成2年1月18日/福岡高裁判決,昭和58年12月24日)」についても学びます。教育法規を学ぶ際,判例を読むことが大切です。ある意味,〈生きた教材〉ですね。

 3 場面指導等

出 題

問 教諭Aが独りで体育館の裏を歩いていると,3人の児童生徒がいました。1人は火の点いた煙草を片手に持っています。1人は何かを枯草の茂みに投げ込んだようです。1人は緊張した面持ちで突っ立っています。職員室など,先生方が大勢いらっしゃる場所まで長い距離があります。この後,教諭Aはどのような言動をとるべきですか?

塾長の述懐

こうした状況に出くわしたとき,まず瞬間的に行わなければならない指導があるのです。生徒指導のプロならばおわかりのはずですね。[3]当塾で本出題を扱ってきて,未だに一発で正解した塾生・受講者はおられません。

さて,その指導とは?

この指導をすかさず終えておくと,後の指導で「吸った」「吸わない」など揉めることが極力少なくなるのです。

勿論,本問を学び終えた塾生・受講者は正解をご存知ですが,塾生・受講者に限らず,頭では理解できていても,当座となると…。特に児童生徒の問題行動への指導(等)には絶妙なタイミングが必要です。

では,その勘を如何に磨くか?

この辺りも塾内ではお話しますよ。また,鍛えます。

さらに,「何かを枯草の茂みに投げ込んだ」状況に瞬間的に気づく感性と機転を利かした即座の対応(指導)が必要です。常に安全管理を心掛けていないと。

本設題。見方を変えればいやらしい設題ですね。抑々,喫煙が予期されるような学校で,単身,体育館の裏を歩くとは…。余程生徒指導に自信があるのか…。まあ,学校事情ということもあるかも…。

何はともあれ,一人で抱え込んで指導をしないことです。と言っても,「職員室など,先生方が大勢いらっしゃる場所まで長い距離があ」るといった場面設定です。確かにいやらしい設題です。でも,現実,十分に起こり得る状況です。本設題のポイント(陥穽)です。だからと言って,一人で抱え込まないことです。どうすれば良いのでしょう?

因みに,当塾では本出題のタイトルに「組織的な生徒指導」と付けています。

出題に対するご質問,ご意見,正解及び解説等に係る照会については受け付けておりません。予めご諒解ください。

© 2020 「鍛地頭-tanjito-」


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