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教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」vol.16 「学習指導要領」/「宿題」

夕暮れのまだ青味の残る空を背景に浮き上がる金色のトロントの街 一般ブログ教材
カナダのトロントの夜景(提供 photoAC)
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「宿題―学習指導要領」の連関性を考えるのは当たり前!!

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令和2(2020)年8月5日(水)から令和3(2021)年4月24日(土)まで
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 1 プロローグ

さて,前回「教採アラカルト」のコーナーで教科書(教科用図書)の使用義務について出題しました。主たるポイントは次のとおりでした。

  • 教科書を主たる教材として使用しなければならない義務
  • 学習指導要領の基準性と教材の精選や重点化との連関

そこで,追加の質問です。

C教諭は検定教科書を使用せず,市販の問題集などだけで授業を行っている。

こうした状況についてあなたはどのように考えますか? また,度重なる校長の指導にC教諭が従わなかった場合,C教諭の処遇はどのようになると思われますか?

  •  教科書は学校教育法第34条等の規定により,学校における使用義務がある。
  •  法令違反であり,校長が繰り返し指導しても従わない場合には,懲戒処分の対象となり得る。

根拠

  • 伝習館高校事件判決(最高裁判決,平成2年1月18日/福岡高裁判決,昭和58年12月24日)
  • 地方公務員法第29条,第32条

 2 面接選考対策

出 題

問 (今次改訂の)学習指導要領の要点を簡潔に述べてください。また,改訂の背景にある教育的な理由について説明してください。

塾長の述懐

出題の前半部については既にご存知のことでしょうから改めて言及する必要はないと思います。後半部の改訂の背景についても同様です。まずは,学習指導要領解説総則編の「改訂の経緯及び基本方針」及び「改訂の要点」(以下「改訂の経緯」と表記)で確認しておくべきでしょう。

しかし,学習指導要領を読み込むためには,同解説に言表化される「改訂の経緯」のそのまた〈背景〉を理解することが重要なのです。社会的・歴史的・思想的〈世界〉のコンテクストを知ると言えば良いのでしょうか?

前掲のブログ教材(「教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」vol.15 「教科書使用義務」/「体育館裏の喫煙」」(小桝雅典,BLOG「鍛地頭-tanjito-」,2019.9.17))で冗談のように真実を綴った,塾生に課す次の課題(記述式)は,実はそのコンテクストを理解するための近道(当塾独自の学習方法)だったのです。したがって,必然的・恣意的に「調べ学習」が必要とされるのです。

○ 「コスモス」と聞いて連想することを論述しなさい。
  なお,その際,「教育」という語を必ず用いること。(制限字数200字以内)
○ 「デカルト二元論」と「宇宙論・コスモロジー」の相違について150字以内で説明しなさい。

 3 場面指導等

出 題

定期家庭訪問先で担任をしているYさんの保護者から次のような訴えを受けました。

「先生,学校の宿題が多すぎます! それでなくても,塾の宿題がたくさんあり,毎夜遅くまで(Yは)やっているのです。それに加えて学校の宿題も! (Yが)身体を壊さないか心配です。学校の宿題は控えてください!」


Yさんの保護者に対してあなたはどのように話しますか?

類題1

保護者から「先生,しっかりと宿題を出してくださいよ。うちの子は,まあ学校から家に帰って来て,ちっとも勉強をしないのですから。量的に十分で毎日の宿題を。土日もお願いしますね。」と要望を受けました。あなたはどのように返答しますか?

類題2

宿題に対するあなたの考えを述べてください。

「場面指導」の出題とは言えません。しかし,「宿題」に関する「場面指導」の出題を考える際,基本的に整理しておかなければならない質問事項です。

ミニ解説・塾長の述懐

本設題は意外と・・・高度な問題を孕みます。「意外と」と申しましたが,学習(教採対策)が進んでいないと,「高度な問題」を孕んでいることに気づかないのです。だから,そうした受験主体等からすれば,「意外」なはずです。

こうした宿題系の出題(教育事象)は「宿題」を基点としてネットワーク状に種々の教育活動が連関を有します。(まずは,学習指導要領をしっかりと読み込めていないといけません。)したがって,「高度な問題」を孕むのです。

本設題の言表群をもって推し量るに,そこには保護者の問題/教師の問題が横たわっています。

(想像の域ですが,)偏差値教育を受けてきた保護者からすれば,そうした人たちが述べる「良い学校」にこどもを入学させるには,学校の宿題など取るに足らないもの・・・・・・・・・・・・・・・・なのかもしれません。そしてこの「学校の宿題など取るに足らないもの」の言説は(学校の)教員の問題をも如実に物語っています。

では,その問題はどのようなものなのか? これに対する解答も本設題の解答(教育事象)として想定しておかなければなりません。

保護者の中には反ゆとり教育言説を申し立てる方もあるでしょう。そうでありながら・・・・・・・・,こどもの家庭学習に係る習慣の確立を億劫だと感じる人もあるでしょう。また,中には家庭の事情により家庭における学習習慣の確立に困難を感じる方もあるでしょう。

ですから,教員が「学校が宿題を出すのは当たり前でしょう。」とか,「どこのクラス(教科・科目)も宿題を出しますよ。」とか,学校組織を意識しない回答とか,こうした表層上の認識だけでは本設題にあるような保護者が得心する説明は到底できないはずなのです。

本設題のような教育事象を考える際,保護者と教員(学校)とが児童生徒を中心とした議論・連携ができるか否かが最大のポイントとなります。

上述の最大のポイントを前提としながら,次の観点から連携(設題の解答)を考える必要があるでしょう。

連携(解答作成)のポイント
  • 「宿題」とは何か?(=「宿題」の有する教育的機能とは何か?)
  • 学校,保護者及び教員それぞれが抱える課題とその改善のための考え方及び方法は何か?

本設題に係る考え方・方法等については,「場面指導Weekly解説ルーム」の中で共に考え,解説致します。

出題に対するご質問,ご意見,正解及び解説等に係る照会については受け付けておりません。予めご諒解ください。

© 2020 「鍛地頭-tanjito-」


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