テーマ
コンプライアンスから校則を理解する。
プロローグ
[場面指導の意義考1]
教員採用候補者選考(以下,「教採」と表記)で扱われる場面指導に係る出題は具象のイメージ化を避け,表現も隴化的であるものが多い。それは受験主体に解答の幅を与えるとともに,まずは選考側が出題に対する受験主体の視座を観取するねらいがあるからと推察できる。
受験主体が如何なる視点から問題となる教育事象にアプローチしてくるか?
などといったところだろうか。
このように考えてみると,終局的には受験主体の有する「学力の三要素(三層構造)」が見られているのである。
1題でこれほどの教員としての資質・能力を推し量ることができる出題は,出題側にとって有り難いに相違ない。
だから,受験主体は「1+1=2」式だけの正解主義で場面指導(教採)対策を乗り切ることはできない。主に,空欄補充式,選択肢式など正解主義的な出題(思考性)だけでは教員としてやっていけない時代が到来しているのである。「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い,高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~ 」(中央教育審議会答申,平成27年12月21日)はそうしたことを物語っている。
因みに,このような時代の趨勢を読み取る能力も見られていると思って良い。先見性を有しているか否か。それは創造性に直結する。教員がファシリテーターであるべき時代は終わった。
これからの時代の教員はクリエーターでなければならない。(by 「鍛地頭-tanjito-」)
「場面指導」(の出題等)に係るさらなる思いは,当サイト(教員養成私塾「鍛地頭-tanjito-」シリーズ)でこれからも折を見て,追々語るつもりであるし,Openchat教員採用試験対策講座がねらっていたものについても,追々語ることにしたい。それはこれからの時代を担う教員の資質・能力等に密接するものだから。
スクールコンプライアンス演習
出題
問 次の文章は校則について述べたものです。空欄に適語を補いなさい。
校則は,学校が( A )を実現していく過程において,児童生徒が( B )すべき学習上,生活上の規律として定められており,小学校では「○○学校のきまり」,「生活のきまり」,「よいこの一日」,中学校・高等学校では「校則」,「( C )」などと呼ばれています。これらは,児童生徒が( D )な学校生活を営み,よりよく成長していくための行動の( E )として,各学校において定められています。
児童生徒が心身の発達の過程にあることや,学校が( F )の場であることなどから,学校には一定のきまりが必要です。また,学校教育において,社会規範の( B )について適切な指導を行うことは極めて重要なことであり,校則は( G )的意義を有しています。
ミニ解説
出典探しから行ってみてください(しっかりと学習を積まれ,その必要のない方もおられることでしょう)。
この出題で強調したいこと。それは,一人ひとりの教職員が「法制度」としての「校則」を理解し,校長のリーダーシップの下,如何にそれを運用していくかが肝要であるということです。
場面指導等
出題
担任をしている頭髪・服装指導を受けた児童生徒Aとその保護者が来校し,かなり激高しながらあなたに主張しています。
「頭髪・服装の規定を校則に位置付け,なぜ指導しなければならないのか!? 憲法にも表現の自由が規定してある。頭髪・服装に関する校則は個人の自由を奪い,個性を否定するものだ! 自己決定権も意見表明権だってある。」
あなたはどのように対応しますか?
ミニ解説
てっぱんネタの出題の難易度をやや上げてみました。今後,益々教育学系大学院修了者を保護者に持つ乳幼児・児童・生徒が増加するでしょうね。そうした事態も想定しておいてください。
どの視点(視座)から,当該の保護者にどのようなフレーズをもって毅然と丁寧に粘り強く説明できるか? この辺りを考えてみましょう。
抑々,「校則」とは何ですか?
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