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自己理解と他者理解とが育む自己成長

「鍛地頭-tanjito-」の教育論
この記事は約15分で読めます。

0 プロローグ

生きる自分への自信を持たせる
「鍛地頭-tanjito-」の副塾長 住本小夜子です。

今回のテーマは「自己成長」です。
この「自己成長」をもたらす心的営みに「自己理解」と「他者理解」とがあります。
これら,2つの視点から「自己成長」についてお話できればと存じます。

Ⅰ 相手を理解するためには,まず自分から

「人は自分を理解した深さまでしか,相手を理解することができない」
という名言をご存知でしょうか?
これは,臨床心理学者である村瀬嘉代子氏が述べられている言葉です。
心理学を学んだり,福祉関係のお仕事をされたりしている方は,一度は耳にされたことがある言葉ではないでしょうか。

自分を知る(自己理解)と相手を知る(他者理解)は,密接に関係しています。
なぜならば,自らを上辺からだけの浅いアプローチでしか理解できずにいると,相手に対しても上辺からだけの浅いアプローチでしか理解できず,本当の意味で「〈自己を知る〉≒〈相手を知る〉」ことにはならないからです。

ここで必要とされるアプローチが,「鍛地頭-tanjito-」のブログに度々登場している「多面的・多角的・総合的」なものの見方や考え方なのです。この「多面的・多角的・総合的」な視点で自己を分析していくことで,より深く自己(内の他者)と向き合うことが可能となります。この自己理解の程度が,他者理解の程度として反映すると考えられているのです。

つまり,「多面的・多角的・総合的」な視点を持ち合わせている人は,「多面的・多角的・総合的」に自己や他者にアプローチできるということです。

「なぜ私はイライラしているのか?」
「もっとうまくこどもと接することはできないのか?」
「ストレスを軽減させる方法はないのか?」

このように長く続いた自問自答の日々が,心理学を学ぶ契機となったのです。
「多面的・多角的・総合的」に自己を理解することが,こども(他者)を「多面的・多角的・総合的」に理解することにつながるのではないか? そのためには,まず自己の心の在り方を「多面的・多角的・総合的」に捉えたい。
かくして,私は心理学の扉を叩くことにしたのです。

心理学で自己分析といえば,「ジョハリの窓」がよく用いられます。これにより,私は「相手は認識しているけれど,自分では認識できていない「自分」」(気づかない窓)と「相手も自分も認識していない「自分」」(未知の窓)に気づくことができたのです。

心理学の分野において,時事分析に用いられる「ジョハリの窓」の画像。縦横の十字で区切られた4つのスペースがある。左上は「開かれた窓(自分も他人も知っている)」,左下は「隠された窓(自分はしているが他人は知らない)」,右上は「気づかない窓(自分は知らないが他人は知っている)」,右下は「未知の窓(自分も他人も知らない)」。
【心理学で自己分析に用いられる「ジョハリの窓」】

ここで問題は,気づいただけで終わらせて良いのか? ということです。

そうです。終わらせてはいけないのです。

「未知の窓」(気づいていなかった自分)に気づいたのに眠らせたままにするのはもったいない!!

自己の奥底に眠る「自己」を知ることができたのならば,自己の内なる他者としっかりと〈対話〉をすれば良いのです。端的に述べれば,短所を改め長所を伸ばせば良い。

一例として,『小学校学習指導要領解説』には次のように記載されています。


〔第1学年及び第2学年〕自分の特徴に気付くこと。
〔第3学年及び第4学年〕自分の特徴に気付き,長所を伸ばすこと。
〔第5学年及び第6学年〕自分の特徴を知って,短所を改め長所を伸ばすこと。

(中学校)
[向上心,個性の伸長]自己を見つめ,自己の向上を図るとともに,個性を伸ばして充実した生き方を追求すること。

自分の特徴を知るということは,その両面を見いだすことと言える。自分のよさは自分自身では分からないことが少なくない。他者から指摘されて気付いたり実感したりすることも多い。具体的には,自分を取り巻く人々や学校での友人などとの関わりを通して徐々に気付いていったりもする。長所と思われる特徴をよい方向へ伸ばし続けていると,そこからまた別の長所が生まれてくることもある。個性の伸長に関わる指導を行う際には,長所を伸ばすように促すことはもちろんであるが,短所についてもしっかりと受け止め,努力によって望ましい方向へ改め,自分のよさを一層生かし更にそれを伸ばしていけるように配慮することが大切である。

『小学校学習指導要領解説_特別教科 道徳編』,文部科学省(平成27年7月)

自己理解を図るために重要視するもの,それは「心身共に大いに学ぶ」ということではないかと考えます。学問と出会い,たくさんの新しいことに触れ,体験を経験化(「体験の経験化」)する。それが「学ぶ」ことであり,「自己成長」を促すことなのです。

Ⅱ 学ぶことをやめると成長は止まる

人は日々心身共に成長し続けています。生まれた時からすでに学ぶことは始まっており,自ら「体験→経験」を繰り返しながら成長していきます。

息子が生後5か月の頃,いつも通っていたオープンスペースで,保育士の方が,
「赤ちゃんは自分より3か月~半年早く生まれた子(自分より早い発達段階にいる子)を見て脳が刺激され,自らの成長が促されるのですよ。」とおっしゃっておられました。

実際に,娘と1日違いで生まれた男の子の一人歩きを見て,翌日,娘が急に歩き出したという体験をしました。前日まで歩きそうな気配は全くなかったので,娘に何らかの刺激があったのは言うまでもありません。

大人も同じように,目標や憧れなど様々な理由で自己や周りを意識し,現状よりもっと良くなりたいと考える人が多いのではないでしょうか?

しかし,少し歳を重ねると,「私はこのままでいい。」「今更,性格を変えようとは思わない。」と(半ば開き直って)おっしゃられる方もおられます。ただ,「このままでいい」「変えようと思わない」ということは,学ぶことをやめることであり,これまで以上の自己成長を放棄することだと思えるのです。(重ねられた年齢により達観された方は別かもしれませんが……。)

学ぶことをやめてしまえば,己を磨くことはできず,そこまでのレベルでしか,自己/相手を見ることができません。本当に自己/相手が求めていること(もの)への理解も困難となり,自己/相手を対象に十分な〈対話〉を図ることも難しくなります。

「20歳だろうと80歳だろうと,学ぶことをやめたものは老人である。学び続けるものは若さを保つことができる」
これは,フォードモーター社創始者であるヘンリー・フォード氏の言葉です。

この世に完璧な人などいません。「人間は死ぬまで勉強」とも言います。
知識だけではなく精神面の向上も図り,〈生きた知識〉として実践できるようになれば,人ぞれぞれの深み(〈「自分」という名の自己〉)が生まれるのではないのかと考えます。

〔参考資料〕
・「発達を促す鍵は「お友だち」!? 赤ちゃん同士が与え合う影響とは」,妊娠&子育て応援サイト ママとパパの悩みを解決 MARCH〔注:現在,記事が削除されています。〕
「子どもの脳を発達させたい方へ,意外に知らない脳育の基本を知る!」,子育ての達人

Ⅲ 「体験→経験」から学ぶ自己成長〔実践編(娘)〕

先日,娘(3才)が通う保育所で生活発表会が執り行われました。
運動会に続く大きな行事であり,娘は張り切って練習していると担任の先生が教えてくださいました。

ただ一つ,担任の先生にも,私にも大変に心配なことがありました。
それは,大勢の観客を前にして,娘がカチコチに固まることです。
運動会は人生初めての行事であったこともあり,練習では上手にできていたダンスも微動だにせず。
その原因は,緊張で不安になり,安心感を求めて私と兄(息子)の居場所を探していることにありました。

撮影をしていた私は娘の心境を素早く察知。「○○(娘)に手を振って!」とすぐに息子にお願いして,キョロキョロと不安そうにしている娘に気づいてもらえるように努力しました。やっと気づいた娘はホッと安心したのか,強張っていた表情も緩み,終盤になってようやく演技ができるようになったのです。

娘は,運動会での自分自身の状態をしっかりと認識していました。
「(緊張のあまり)カチコチになったんよ~。」
「(お母さんが)どこにいるのか分からんかったから探したんよ~。」
撮影した動画に映る自分の姿を恥ずかしそうに見つめながら,娘は当時の心境を振り返りました。

なぜ私はカチコチに固まってしまったのか。
その原因は何だったのか。
次は,どのようにしたら,のびのびと演技ができるのか。

娘は自分自身が所謂「あがり症」であることを理解しているのです(自己理解)。
そして,「(お母さんが)どこにいるのか分からんかったから探したんよ~。」は,[(お母さんが)どこにいるのかがわかっていたら緊張しないんよ~。]と緊張に対する解決策を言外に語っており,しかも(私の心を見透かすように,)[お母さんも(次の発表会は,お母さんやお兄ちゃんが)どこにいるのかわかるようにしたいと思ってくれているのでしょう。]と私の気持ちを類推的に捉えていると考えられるのです。
実際,私はそのように考えていたのですから。娘は私との対話による文脈の中で,私の気持ちを補足していたように考えられます(他者理解)。

そこで,私はこの「体験→経験」を生かし,発表会では練習同様に堂々と演技を行うための工夫が必要だと判断しました。私は事前に「ちゃんと見ているからね。ここよ~って手を振るから大丈夫よ。」と娘に何度も自然なかたちで伝えました。加えて「当日,私がいる場所を事前に娘に伝えてください。」と担任の先生にもお願いをしました。(「(担任の)先生,ご協力,誠にありがとうございました。」)

塾長は言います。
「体験を体験だけで止めると,成長は少ないんだ。
体験を経験に変えて,初めて体験した内実は能力として身に付く。
これを「体験の経験化」と言う。
教育界では常識だよ。
大切なことは,体験したことを音声言語だろうが,文字言語だろうが,
言語にして表現すること。
つまり,自己の体験を言語を介して〈相対化〉(≒メタ認知)することだ。
簡単に言えば,自己の体験を客観的に,
第三者の視点で見つめて表現するということね。
その行為によって,体験を経て自己に身に付いた力を
自分自身に認識できるようにさせる。
体験を経験化するのに最も大切なことだよ。
それはこどもでも大人でも一緒だよ。」

幕が開くと,舞台袖でキョロキョロと不安そうにしている娘を発見。軽快な音楽に合わせながらトップバッターで観客の前に姿を現した娘は,手を振る私と少し離れた場所に座っていた兄(息子)の姿をしっかり確認し安心した様子。終始,笑顔で楽しくのびのびと演技をしステージを終えました。

事前に与えていた安心感と先生方のご協力により,娘は飛び切りの笑顔で演技ができたのです。何よりも,娘本人の大きな成長となり自己肯定感が高まったことに間違いはありません(自己成長)。

〔参考資料〕
「幼児の感情語りの世界1-何に支えられ何を支えるのか-」,久保ゆかり(東洋大学),2016年5月
「幼児の感情発達」,平林秀美(東京女子大学),CHILD RESEACH NET(Benesse),2014年6月

Ⅳ 繰り返し繰り返して育む自己成長〔実践編(息子)〕

小学1年生の息子は軽度の自閉スペクトラム症です。息子への療育に欠かせないのは,息子が苦手とする一つ一つの物事に対して,何度も何度も繰り返し繰り返し指導を継続すること。私個人の思いですが,これは本当に〈根気の要るコミュニケーション〉であり,それ相応にストレスも溜まります。

しかし,私が挫けるわけにはいきません。繰り返し訓練していくことは,息子の自律スキルとソーシャルスキルを高めるために必要だからです。

現在,実際に力を入れている訓練の一つに,「文字を丁寧に書く」があります。(指導者の異なった指導による)息子の混乱を防ぐために,学校や通級指導教室,放課後等デイサービスとも連携を図り,どこでも同じようにブレのない指導をしていただけるようにお願いして,文字を丁寧に書けるようご協力をいただいております。

息子のその日の気分や,その時の感情によって「やる気スイッチ」の強弱は極端に異なります。また,周囲の状況(視覚から入る余分な情報)が集中力の妨げになることが多々あります。毎日の宿題にはしっかり取り組みますが,「文字を丁寧に書く」ことは忘れがちになってしまうのが息子の弱点です。

その背景には,息子の特性として,「遊びたい」「あれが気になる」といった感情が頭の中を瞬時に,しかも完全に支配してしまい,「(宿題を)早く終わらせたい」というその思いだけに捕らわれてしまうことが挙げられます。それだけしかない状態になるのです。したがっ,本来の目標である「文字を丁寧に書く」という目的が吹っ飛んでしまうのです。

軽度の自閉スペクトラム症である男児が,スピードを重視して文字を書いたノートの一頁。
【スピード重視で書いた文字】

息子と一緒に決めた約束は,「丁寧に書けていない場合はやり直す」です。
以前までは,ノートに書いていたものを消して,また新たに書き直していましたが,現在は丁寧に書けなかったものも残したまま,もう一度改めて書くようにしました。

こうすることで,書き直した後に,比較が可能となり,どこがどのように変わったのか息子本人が認識しやすくなりました。また,せっかく書いたものを消さなければならないという喪失感もなくなり,1回目よりも丁寧に書こうという向上心が生まれたのです。

しかも,何度もやり直すことへの嫌悪感を抱いた息子は,1回目から丁寧に書く努力を覚えました。

息子が文字を書き始めたのは4歳(年少)です。
そのときからずっと,「ゆっくり丁寧に」と声を掛けながら文字を書く習慣をつけてきました。時には,この声掛けが息子には鬱陶しいと思われることもありましたが,その都度,なぜ「ゆっくり丁寧に」なのかを説明したのです。
そもそも,息子が口にした言葉だったのだから。

《息子の言葉》
「丁寧に書いた文字を(書いた)後で(自分で)見ると気持ちいいね。自分のやりたい我が儘は我慢しないといけないね。」(自己理解)
「(自分の書いた文字を)母ちゃんや(担任の)先生が見ると気持ちいいんじゃろうね。」(他者理解)

《私の説明》
「○○(息子の名前)も,我が儘は我慢して,自分で書き上げた丁寧な文字を見ると,気持ちが良いでしょ? それと同じように,○○の書いた文字を見てくれる他の人たちも,丁寧な文字を見ると気分が良くなるんよ。」

毎日宿題や連絡ノートを記述する際には,「自分で「ゆっくり丁寧に」と言ってから文字を書いてみましょう。」と根気強く指導してきました。
すると,最近になって,いつもの漢字ドリルの宿題で,
「本当に本人が書いたの?」
と疑ってしまうくらい丁寧な文字でノートに書くことができたのです。

軽度の自閉スペクトラム症である男児が,ゆっくり丁寧にを重視にして文字を書いたノートの一頁。
【「ゆっくり丁寧に」を意識して書いた文字】
※ 担任の先生からは,まだ「ていねいに!!」とご指導を受けていますけれど(笑)

息子は「母ちゃんが毎日教えてくれたから書けるようになった。(担任の)先生もビックリしていたけどたくさん褒めてくれたよ。」と言っていましたが,一番は息子の日々の努力であり,訓練の積み重ねです。私は本当に嬉しくて,息子の頭を撫でながら,たくさんたくさん褒めました。

この日以来,「ここは丁寧に書けていないかも」と自発的にやり直すことも増えたのです。

自分の苦手なところは何か。
それを克服するにはどうしたらいいのか。
継続するため必要なことは何か。
指導されてやり続けるのではなく,「自ら考えて実践する力」に息子は気づいたのだと思います。
自他を意識する中で。

困難なことは,1回出来たからといって,同じ調子でその後もずっと続くわけではないということです。
でも,良かったり悪かったりの波を繰り返しながら,少しずつ少しずつプラスに転じていけたらいい。
正のスパイラルをゆっくりゆっくり描いて成長してくれればいい。

毎日毎日同じことを言い続けることは,精神的にも辛いですし,ストレスも溜まってしまいます。しかし,私一人が辛いのではない。息子も日々努力している。その分,時間を掛けて取り組んだことが結果として表れた時の喜びは計り知れず,それがまた息子の自己肯定感の高揚につながるのです(自己成長)。

〔参考資料〕
「幼児期・児童期における自己理解,他者理解,感情理解の関係性について-自閉性障害児を中心に-」,田中明子(創価大学)

Ⅴ 「訓練」「経験」「知識」が他者理解の基礎となる

社会構造の様々な場面において,「教える立場」と「教わる立場」が存在します。その「教える立場」に求められる適性や態度があります。相手に信頼してもらうために,自分はどのような振る舞いをするのか,相手の立場に立って,物事を判断できているのかなど,自己成長に欠かせない「訓練」「経験」「知識」の自己研鑽が必要です。

優れた教師の条件には様々な要素があるが、大きく集約すると次の3つの要素が重要である。
1 教職に対する強い情熱
教師の仕事に対する使命感や誇り、子どもに対する愛情や責任感などである。
また、教師は、変化の著しい社会や学校、子どもたちに適切に対応するため、常に学び続ける向上心を持つことも大切である。
2 教育の専門家としての確かな力量
「教師は授業で勝負する」と言われるように、この力量が「教育のプロ」のプロたる所以である。この力量は、具体的には、子ども理解力、児童・生徒指導力、集団指導の力、学級作りの力、学習指導・授業作りの力、教材解釈の力などからなるものと言える。
3 総合的な人間力
教師には、子どもたちの人格形成に関わる者として、豊かな人間性や社会性、常識と教養、礼儀作法をはじめ対人関係能力、コミュニケーション能力などの人格的資質を備えていることが求められる。また、教師は、他の教師や事務職員、栄養職員など、教職員全体と同僚として協力していくことが大切である。

「第2部 各論 第2章 教師に対する揺るぎない信頼を確立する―教師の質の向上―(1)あ
るべき教師像の明示」:新しい時代の義務教育を創造する(答申),中央教育審議会,平成17年10月26日

引用した資料の対象者は「教師」となっていますが,何も教師に限ったことではありません。「教える立場」にいる人すべてに共通することだと考えます。

教師,保育士,ベビーシッター,講師,インストラクター,指導員,コンサルタントなど,「教える立場」も様々です。そして,何よりもこどもに最も近い存在である保護者。

自己の「訓練」「経験」「知識」を積み上げ,自分がどのような人間かを知り得てこそ,他者理解ができる土台が構築されていくのです。他者理解をする対象が,こどもに限らず大人である場合も同様です。

次の記述は,私がメンタルカウンセラーの資格取得に際し感じたことをまとめた一節です。

「メンタルケアカウンセラーの学習を通し,「カウンセリング」にとって特に重要であると感じたことは三点あります。 
 一点目は,クライアントを尊重し信頼関係を築くこと(ラポートの形成)です。 第一にクライアントのポリシーを尊重し,カウンセラーがホンモノの〈思いやり〉と〈優しさ〉を兼ね備えることで,クライアントとの信頼関係の構築につながると考えます。ただし,逆転移しないように,カウンセラー自らが心のバランスを図る必要があるとも考えます。 
 二点目は,クライアントの心に寄り添い,クライアント自身が自らの力で成長するよう導くことです。傾聴や共感的理解などクライアントの心の声をしっかりと受け止め,クライアントの「本当に聴いてほしいこと」を引き出すアプローチを行います。また,指示や指導ではなく,クライアント本人が解決できるように悩みの緩和に努めます。 
 三点目は,カウンセラーとしての自己成長を止めないことです。日々変化し続ける社会情勢や種々の学問に対する知識習得だけではなく,それを〈生きた知識〉となるように訓練していくことは,クライアントを理解することに大きく影響します。自己成長を止めることは,クライアントに対する理解の限界を表します。最善の対応ができるよう,多角的・多面的・総合的な学習が必要です。」 

相手に成長してほしいと望むのなら,まずは自分が成長すること。
相手に理解してほしいと願うのなら,まずは自分を理解すること。

「この世には二種類の人間がいる。努力する人と人の努力にたよる人。」
アメリカの女性作家・詩人のエラ・ウィーラー・ウィルコックスの言葉です。

私は前者の「努力する人」でありたい。
それが私の周りにいる人たちの笑顔に結びつくと信じているから…。

参考資料
・『簡単にわかる! メンタルカウンセラー®vol.1』,日本学術会議協力学術研究団体 メンタルケア学術学会®監修,教育ナビゲーション株式会社 編,教育ナビゲーション株式会社,(2018年6月)


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